心豊かな生活


                  ノートルダムを記念して。6分割のリヴ・ボールト    右端クリックで拡大
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                                                  役員の使命 (1)
                                                  使徒言行録20章28節



                                 (序)
  パウロは仲間たちと、ギリシャマケドニア、現在のヨーロッパ側からアジア側に帰って来て、トルコの西岸の多島海を南下し、サモトラケのニケで有名なサモトラケ島、トロイの木馬で有名なトロイの近郊トロアス、アソス、キオス島など、島陰を縫うようにしてミレトスに着いたのです。約300キロの船旅でした。パウロは途中、トロアスからアソス迄は皆から離れて独りで徒歩旅行し、アソスで再び合流して、ミレトスに着いたのでした。彼はウオーキングが好きだったんでしょうか。確かにウオーキングは雑念が取れ、心が単純になり、今一番大事なものも少し突き放して心を向けることが出来ます。

  今日の個所は、このミレトスにエフェソの長老たちを呼んで彼らに別れの言葉を述べた所ですが、17節を見ますと、「パウロはミレトスからエフェソに人をやって、教会の長老たちを呼び寄せた」とあります。彼はどうしてエフェソに直接寄らずに、エフェソの長老らを約50キロ離れたミレトスに呼んだのか。彼はこの徒歩旅行の間に、エフェソ教会を今後長老たちに託するにあたって、どうすればよいかを熟慮したのでないかと思います。

  彼は長い船旅で疲労してエフェソまで足をのばさなかったのでも、先を急ぐ旅であったからでもなく、長老らを呼び寄せて彼らにだけ話すことによって、長老の責任感を今一度、強く自覚してもらいたかったからでないでしょうか。先ほどお読み頂いた28節に、「聖霊は…あなたがたをこの群れの監督者に任命なさったのです」と語っていることからも、エフェソの一般信徒たちがいる所で長老らに話すのでなく、ミレトスに来てもらって話すことで、より長老の自覚を持ってもらえるのでないかと思ったのでしょう。

  確かに長老らがミレトスに行けば、数日間、商売や仕事を休んで数10キロを色々おしゃべりし交わりを深めながら歩いて来て、パウロの話を聞いた後、帰路はパウロの言葉を色々思って話題に取り上げながら、それを何度も反芻しながら家路につくわけで、パウロの願いが強く彼らの心に留まるでしょう。昔の方がのんびりして心豊かな生活があったのかも知れません。

        (つづく)


                                           2019年4月28日



                                           板橋大山教会  上垣勝



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  後日、ホームぺー作成の予定。