何という空しさ


        2019年4月15日受難週の月曜日にノートルダム炎上
          尖塔が崩落した瞬間、胸に何かが突き刺さり思わず祈りました。
            22世紀以降の人は誰も850年続いた香気馨るフランス文化の粋を見る事はないでしょう
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                                                 水の上にパンを投げよ (1)
                                                 コヘレト11章1-6節



                                 (序)
  コヘレトの言葉は、前は「伝道の書」と呼びましたが、新共同訳で「コヘレト」に変わりました。元のヘブライ語の聖書で、コヘレトとなっているからで、固有名詞ではありませんが、コヘレトが何を意味するか、十分分からないからです。伝道者とか、会衆の指導者、説教者と訳されましたが、しっくり行かないというのでヘブライ語をそのまま採用したのです。しかしコヘレトなんて、なんか暗号のようで、これもしっくり行っていない気がします。

  最初から書名の、余り信仰と関係ない事に行きましたが、1章1節に、「ダビデの子コヘレト」と書かれています。ダビデの子はソロモンです。彼は王であると共に、知恵の人、思想家、哲学者でしたから、この知恵の書を書いたと言ってもあまり驚かれないかも知れません。

  しかし実際は、この書はソロモンの約700年後のギリシャ文化の影響が見られ、その時代のエルサレムの知者が書いたのでないかとも言われます。ただ、元の原型はソロモンが書いたなら、あの壮大な王国を築き、イスラエル文化を花咲かせた彼が、1章2節で、「何という空しさ、何という空しさ、すべては空しい」と発言したとすれば、却ってこれは意味も謎も非常に深くなります。いわばマイクロソフト創立者ビル・ゲイツさんが、「何という空しさ、何という空しさ、すべては空しい」と発言したとすれば、世界に衝撃を与えるでしょう。教会学校で育ち、聖歌隊で歌っていた人ですから、いつか似たことを言う可能性だってあるでしょう。

  しかも「何という空しさ」と冒頭で発言し、途中でも何度もそう発言しながら、最後は、「若き日に、汝の造り主を覚えよ」と書き、更に、「すべてに耳を傾けて得た結論。『神を畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて」と、洞察しています。これも凄い事だと思います。「コヘレトの言葉」をじっくり読むと凄い深みがあります。

         (つづく)

                                           2019年4月14日



                                           板橋大山教会  上垣勝



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