教会は理想の場じゃない


ポターの散歩道で、地図を持っていなかったので迷ってしまいました。地図は必携です。   右端クリックで拡大
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                                                  神を欺く (上)
                                                  使徒言行録5章1-11節



                                 (1)
  今日の最初に、「ところがアナニアという男は、妻のサフィラと相談して土地を売り、妻も承知のうえで、代金をごまかし…」とあります。この「ところが」は、その前の4章32節以下の、初代教会の「信じた人々の群れは心も思いも一つにし、一人として持ち物を自分のものだと言う者はなく、すべてを共有していた」という姿と対比して、「ところが」教会の中にはこういう人たちもいたという意味です。

  誕生後間もないキリスト教会は活き活きとイエスの復活を信じて、ある者たちは――全員ではありません――土地や家を売って代金を持ち寄り――これは貸家や余分の土地でしょうか――、それらを売って、持ち物を共有して、まるで原始共産社会のような共同体が誕生したのです。お金は必要に応じて各々に分配されたので、お金に困窮する者は1人もなかったとあります。ただ長くは続かなかったでしょう。原始共産社会は神の国ではありません。色々な問題が発生した筈です。

  ただ、持ち物を売り払った者の1例を挙げて、やがてパウロと共に世界伝道を志すキプロス島出身のバルバラのように、畑を売ってその代金を使徒たちの足元に置く人もいたと伝えています。こうして教会は、心も思いも一つにして最初の高揚期を迎えていたのです。

  教会活動の活き活きした高揚は、元はペンテコステに始まりました。そしてその中で起こったことですが、エルサレムの「美しの門」の前で、生まれつき足のきかない男がペトロの言葉に導かれて歩き出したのです。それは、「わたしには金や銀はないが、持っているものをあげよう。ナザレの人イエス・キリストの名によって立ち上がり、歩きなさい」という言葉を信じて歩いたという不思議な出来事でした。

  このように、信仰が高く高揚した初代教会に満ちていたのは、「わたしには金銀はない。だが、ナザレの人イエス・キリストの名によって立ち上がり、歩く」という、イエス・キリストへの喜ばしい生きた信仰であったと言えるでしょう。

  「ところが、アナニアという男は、妻のサフィラと相談して土地を売り、妻も承知のうえで、代金をごまかし、その一部を持って来て使徒たちの足もとに置いた」と書くのが今日の個所です。

  教会には、バルバラのような奇特な人がいましたが、全員がそうでなく、アナニアとサフィラのカップルのような人も混じっていたのです。玉石混淆だったのでしょう。

  3月24日が日曜日になる事はそんなに多くありません。この日は特別な日です。なんでって?私の誕生日です。(拍手)ありがとうございます。実はこの間は、金婚式で息子家族に祝ってもらったんです。(拍手)すみません。もしアナニアとサフィラが皆をうまく騙しおおせたら、当初はうまくやったと二人は顔を見合わせてウインクし合ったでしょう。でも金婚式を迎える頃には、実に苦々しい生涯の汚点の思い出になったでしょう。

  聖書は、初代教会の姿を理想化しようとしません。バルバラは立派な信仰を持っていましたが、その立派さを褒めたたえようと書くのでなく、そういう人の事はサラッと書いて、アナニアとサフィラのカップルのような人たちが混じっていたことに多くの紙面を割いて、それを強調したような書き方をしています。

  教会を理想化して祭り上げる人が時々いますが、それは間違いです。そういう人は教会とは何かをまだ知りません。それで、何か気に入らないことがあると急にそっぽを向いたり、教会に反対の事を言い始めたりします。自分のこの世的価値観が中心なのです。だが聖書は人間を理想化しません。人間中心主義ではないのです。罪を持つ人間が集まっていますから、躓きも起こります。だがそういう者も含めて、教会はキリストの血で贖い取られた所として、赦しが必要な場として述べるのです。いや、社会全体が赦しを必要とする所と見ているのです。急にそっぽを向くのは赦せないからです。また自分自身の問題が見えていないからです。自分自身の罪との闘いがまだ始まっていないのです。

         (つづく)

                                          2019年3月24日



                                            板橋大山教会  上垣勝



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