思い切って平和を生きた人たち


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                                                思い切って生きよう (4)
                                                使徒言行録4章23-31節



                                 (4)
  先日、テレビで、もう終わりの10分ほどの場面でしたので前の部分は分かりませんが、戦時中のドイツの事でした。ドイツが周辺国を次々侵略し、ソ連にも侵攻しますが、やがて寒波の中でソ連軍の前に敗北し、おびただしいドイツ兵が戦死しました。

  その時、あるドイツ兵が捕虜になり、爆撃で自分らが壊した街々の再建のために重労働をさせられます。しかし食料は乏しく、日々の重労働は厳しく、遂に肺炎になってガリガリに痩せて死を待つばかりです。

  ある日、一人の看護婦が何かを持って来て、飲みなさいと言うのです。「何ですか、これは。」「さあ、飲んで。」「何を飲むんですか。」問答の末、「ミルクだ」と言うので、長く口にしたことがなかったミルクを飲んだのです。その後毎日、ミルクを運んで来てくれたのです。暫くすると体調がグングン良くなって回復しました。

  退院時に、「なぜ、私だけにミルクをくれたんですか」と聞くと、「あなたは、私の弟にとても似ているから」と言います。「弟さんは、お元気ですか」と聞き返すと、「いいえ、死にました。」「どうして?」、「これです」、片手で自分の喉を切る動作をしたのです。

  そして、「私たちはユダヤ人です。弟はドイツ兵に虐殺されました」と言ったのです。それを耳にして彼はハッと息を飲みました。弟がドイツ兵に虐殺されたのに、姉が捕虜になったドイツ兵の自分に親切にし、助けてくれたのです。考えられない事をしてくれたのです。肺炎でそのまま犬死しても、誰にも文句を言えないのに、彼女は身近にいる敵の一人に毎日ミルクを届けてくれたのです。

  この事は、戦後、このドイツ兵を平和へと駆り立て、平和を創り出す人へと変えて行ったようです。

  これは、「汝の敵を愛せよ」とのみ言葉なしに起こらない事だと思いました。「彼らをお許しください。彼らは何をしているのか、分からないでいるのです。」このみ言葉が、彼女の心の中に在ったのでないかと私は思いました。彼女は思い切って平和を生きたのです。

  初代の信仰者たちは、「思い切ってみ言葉を語らせて下さい」と祈り、大胆にみ言葉を生きたのです。神の言葉が彼らを変え、その小さい一団が思い切って大胆に平和に生き、やがては世界を変えていく端緒を拓いて行ったのです。

  「主よ、今こそ彼らの脅しに目を留め、あなたの僕たちが、思い切って大胆に御言葉を語ることができるようにしてください。彼らにも福音を語るようにしてください。……祈りが終わると、一同の集まっていた場所が揺れ動き、皆、聖霊に満たされて、大胆に神の言葉を語りだした」のです。

  使徒言行録4章のスッと読み過ごしてしまいそうな個所には、世界史を変えて行く非凡な事柄が示されているのです。

        (完)

                                             2019年3月17日



                                             板橋大山教会  上垣勝



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