リビングストン
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思い切って生きよう （３）
使徒言行録４章２３－３１節
（３）
今日の２４節に戻ると、仲間たちの祈りが書かれています。「主よ、あなたは天と地と海と、そして、そこにあるすべてのものを造られた方です。」彼らは天地創造の神、自分たちを脅迫する者たちをも御手の中に置いて支配されるお方に呼びかけて祈ったのです。
そしてダビデが聖霊に感じて語った言葉、「なぜ、異邦人は騒ぎ立ち、諸国の民はむなしいことを企てるのか。地上の王たちはこぞって立ち上がり、指導者たちは団結して、主とそのメシアに逆らう」という言葉を思い出して、ダビデが預言した事が今、この都で起こっていること。ローマ総督ピラトとヘロデ王、異邦人とイスラエルの民が結託して、主が油注がれた聖なる僕、イエスに逆らいましたと訴えたのです。即ち、弟子たちは現在の問題をイスラエルの長い歴史の流れの中で捉えて、祈ったのです。
そして今日の中心、「主よ、今こそ彼らの脅しに目を留め、あなたの僕たちが、思い切って大胆に御言葉を語ることができるようにしてください。」何者も恐れず、あなたのみ言葉を、そのメッセージを大胆に語ることが出来るようにして下さいと、声をあげて祈ったのです。
祈り終わると、不思議なことが起きました。「一同の集まっていた場所が揺れ動き、皆、聖霊に満たされて、大胆に神の言葉を語りだした」というのです。
ここで言われているのは、１章から４章に掛けての弟子たちの不思議な変化です。聖霊降臨の出来事、ペンテコステは非暴力と大胆さを持ってキリストを証しする弟子たちへと変えて行きました。平和をもって世に出て行く人たちです。
「彼らを滅ぼしてください」と祈りません。旧約聖書はユダヤ教ですから、そんな祈りが沢山出て来ます。詩編にも出て来て、詩編交読の時に、復讐や殺戮を煽るキリスト教的でない個所は省くか飛ばすことにしています。ただその様な言葉があることで、後の福音的な言葉が生きる場合には外しませんが、復讐や殺戮の言葉は礼拝の交読に相応しくないと思うからです。いずれにせよ、ペンテコステの事件は非暴力と大胆さを持つ弟子たち、平和をもって世に出て宣教する人々を新しく造っていったのです。
滅ぼして下さいでなく、彼らも救いに入れられるように、「思い切って大胆に語らせて下さい」と、彼らのためにも憐れみを執成したのです。そして、この態度をもって大胆に世界に出掛ける人たちを作ったのがペンテコステの事件であり、そのことが使徒言行録を読み進める中で明らかになって行きます。
私は近年、出来るだけ古い名著を読むようにしています。暫く前から読み始めたのは、「平家物語」。牧師で平家物語を読む者は余りないでしょうが、様々教えられます。並行して「論語」も読んでいます。これは３回目です。評論家の解説でなく、直に当たることが大切だと思います。キリスト者として信仰をもってこれらを読むのです。その流れで、リビングストンの「アフリカ探検記」や、これも名著ですがスタンレーの「暗黒大陸」などを暫く前に読みました。
２人は素晴らしい人たちです。歴史上こういう人がいたのは人類の誇りと言えるでしょう。中でもリビングストンは、宣教師として、医者として、奴隷売買を禁止し黒人を救うためにアフリカに行きましたが、いかに平和的な態度であるか。平和を生きるとはこういう事だと思いました。初めて知りましたが、やっぱり首狩り族はいたのです。恐ろしい人喰い人種も中央アフリカには至る所でいたのですが、戦いの陣太鼓が鳴り出陣の踊りを舞う中で、平和の態度で酋長や長老に接するのです。その勇気に圧倒されます。その源流を糺せば、ペンテコステによって非暴力と大胆さ、主の平和をもって世に出て伝道するように変えられた弟子たちだと言っていいでしょう。その基はイエスまで遡ります。
イエスの復活後、弟子たちは心を合わせて祈るようになりますが、何よりもペンテコステ後、更に熱心に祈るようになるまでは、彼らは人々を恐れて外に出ることが出来なかったのです。ですから、この画期的な変化は神が授けられた勇気であり、聖霊の賜物としての大胆さであったとしか言えません。
少し前も触れましたが、心の細やかさや繊細さは大事ですが、それがひ弱さにならないようにと思います。余りに神経質になっちゃあいけないです。やはり大胆さと勇気は大事です。
（つづく）
２０１９年３月１７日
板橋大山教会 上垣勝
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