人と響き合う


            「ピーター・ラビット」の作者ビアトリックス・ポターはこのルートを毎朝散歩していました。 
                   初めてパブリック・フット・パスを歩いて柵を越えた日を覚えています。
                   日本人なら、というか、私は怒られるのじゃないかと心配になりました。
                   でもパブリック・フット・パスはドンドン入って行って大丈夫です。
            このルートはナショナル・トラストのルートになっています。
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                                                    二人は一体 (上)
                                                    創世記2章18-25節



                                 (1)
  おはよう。前にお話ししましたが、神さまはアダムをお造りになったのでしたね。アダムというのは、人間という意味ですよ。

  アダムさんはエデン、これは喜びの園という意味ですが、その素晴らしい園で生活していたのです。でも他に人間はいません。たった独りでした。食べ物は一杯あったし、空は青く晴れて雲が流れて、美しい花も咲き乱れて、エデンは素晴らしい所でしたが、何か物足りないのです。詰まらないのです。地球上にたった独りだったら詰まらないよね。

  それをご覧になった神様は、「人が独りでいるのは善くない。彼に合う助ける者を造ろう」と言われたのです。

  「彼に合う助ける者」って、「彼にふさわしい助け手」という意味です。ふさわしい助け手って、どんな人でしょう?彼と響き合う人のことです。響き合うのは、心が響き合う人ですよ。難しい言葉では、共感し合う人です。

  「僕はカレーライスが好きなんだ」とイッちゃん、一郎君ですが、彼が言うと、純ちゃんが、「カレーなんかインド人の食べ物よ。日本人なら、天ぷらとか、日本の和食を好きになりなさいよ。」この会話って響き合っていますか。共感していますか。共感じゃなくて、あなたはダメって言っているだけだね。押し付けてる。

  じゃあ、純ちゃん、純ちゃんて純子ちゃんだよ、こう言えばどうだろう。「あなたはカレー好きなのね。ヨッちゃんもカレーがいいって言うのよ。最近カレーが大はやりなの。でも私は和食がいいわ。ママが作ってくれる野菜天やエビ天のおソバなんて、うまくて、たまんないわ。」これだったら、相手に共感しているし、自分の好みもちゃんと言っています。こうだと、相手の人と心が通じています。

  「響き合う人。」そんな人なら気持ちいいよ。神さまはまたふさわしい「助け手を造ろう」と言われました。助け手って、お互いに助け合い、協力し合う人です。

  それで神さまは、先ず野原のあらゆる獣、それに空の色んな鳥などを土で造って、アダムさんの所に持って来て、アダムさんがそれをどう呼ぶかを見ておられたのです。象さんやライオン、ブタや犬や猫など、それにコマドリやスズメさん、鴬さんなどを持って来られた。アダムさんを土で造ったので、動物も土で造れば、材料が同じなら助け合うかも知れないって考えられたのかも知れないですね。

  持って行くと、例えばアダムさんが馬と呼ぶと、それがその動物の名前になったのです。それでアダムさんは、あらゆる家畜、獣、空の鳥に次々名前を付けたのですが、「自分に合う助ける者。ふさわしい助け手」が見つからなかったのです。

  プードルとかマルチーズとか。お店で見てもかわいいですが、家に買って帰って、家族で名前を付けて犬がすっかりなつくと、もっと愛らしくなります。犬や猫とじゃれたり、たわむれて遊ぶと更に可愛くなって、もう家族の一員です。でも、動物や小鳥と心が響き合いますか?人間を慕ってきます。すり寄って甘えて来ます。でも、それって心が響き合うことかな。

  犬や猫を飼っている人は、どうですか。ええ!今日は大勢なのにペットを飼っている人はいないの?喘息や病気になっちゃあいけないから飼わないの?何ですって?なるほど、お世話が大変だからか…。そうだ、みんな忙しいんだ。

  でもね、お母さんたち、余り勧めたらいけないかな?犬や猫って本当にかわいいんだ。一緒に寝たり、学校から帰ると、玄関にしっぽを振って迎えてくれるんだ。足にまといついてじゃれたりして愛らしい。でも、じゃれ合うって心が響き合うことじゃあないよね。また、助け手にもならない。

  それで、神さまはアダムを深く眠らせて、あばら骨を1本取ってすぐ肉をふさぎ、麻酔をかけたかな?取ったあばら骨で女を造ってアダムの所に連れて来られました。するとアダムさんは、「これこそ、わたしの骨の骨、わたしの肉の肉。これをこそ、女と呼ぼう、まさに、男から取られたものだから」と、喜びの歓声を上げたというのです。

  男と女。心が響き合うように、互いに助け合うようにお造りになったのです。むろん女同士、男同士でも響き合います。でも、お互いに違う方が響き合いの音色は美しいのです。響き合っているのを聞くのも気持ちがいいのです。

  赤ちゃんはね、お母さんのお腹にいる時から周りの音を聞いているんだよ。皆さんもそうだったんだ。覚えている?いないよね。一番好きなのは、お母さんの声。そして、お母さんとお父さんがお話して心が響き合っている声です。それを聞くと気持ちが落ち着くんだ。さあ、生まれるぞって言う気持ちになる。直感でそう思うんです。お母さんとお父さんは、ボクを、私を、喜んで迎えてくれる。生まれるのは嬉しくてならないんだ。これ、本当だよ。実際に実験で確かめられているんだよ。

  だから、母さんと父さんは響き合っていないといけないんだ。ケンカばかりしたり、愚痴ばかり言ったり、怒ってばかりしていたらいけない。皆さんはまだ子供だけど、大人になったら、心が響き合う人と結婚してください。心が響き合わないのに結婚しちゃダメだよ。その人がどんなに頭がよくても、どんなに美人で、ハンサムでも、どんなにお金を持っていてもダメ。心が響き合う人を選んでくださいね。

  すると、きっと素晴らしい家庭を作ることが出来ます。赤ちゃんが、君たちの響き合っている声を聞くんだから。

  人間じゃなくて、犬と一緒ならいい、犬と結婚しますっていう人いますか。犬となら響き合うが、人とは響き合わない。そうじゃない。人間と響きあって欲しいと思います。本当の響き合いは人間との間でだけ起こるのです。祈りましょう。


      (つづく)

                                             2019年3月10日



                                             板橋大山教会  上垣勝




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