骨太な生き方


        ポターの散歩道を行くと急に不気味なはげ山に出ました。
           一面に柵が張り巡らされ、Ramorumu病によるカラマツの倒木とありました。
                                              右端クリックで拡大       
                                  ・



                                              地上の全民族が祝福される (中)
                                              使徒言行録3章11‐26節



                                 (2)
  こう語った後、ペトロは、「ところで、兄弟たち、あなたがたがあんなことをしてしまったのは、指導者たちと同様に無知のためであったと、わたしには分かっています」と、無知の為だったと、群衆のための執り成しに移って行きます。サディスティックに責めたりする人がありますが、ペトロはケンカを売っているのではないのです。

  詩編に、「あなたには、ゆるしがあるので、人に恐れかしこまれるでしょう」とある通り、神の赦しに向かって群衆を取り成したのです。

  そして18節以下でこう語りました。「神はすべての預言者の口を通して予告しておられたメシアの苦しみを、このようにして実現なさったのです。だから、自分の罪が消し去られるように、悔い改めて立ち帰りなさい。こうして、主のもとから慰めの時が訪れ、主はあなたがたのために前もって決めておられた、メシアであるイエスを遣わしてくださるのです。このイエスは、神が聖なる預言者たちの口を通して昔から語られた、万物が新しくなるその時まで、必ず天にとどまることになっています。」

  ユダヤ人たちがイエスを十字架に磔(はりつけ)にして殺した訳ですが、メシアのこの受難は、昔から何人もの預言者が予告し、預言していたことで、神は、メシア・イエスに苦しみを与えるためにあなた方を関わらせ、神はみ心を実現されたという事です。あなた方は無知のために、無自覚のまま、それを行なってしまいました。

  「だから、自分の罪が消し去られるように、悔い改めて、神に立ち帰りなさい。」神はあなた方を赦し、迎え入れて下さるでしょう。「主のもとから慰めの時が訪れ」るでしょう。今は、慰めの時です。救いの日です。主がこの日を決めて、キリストを遣わして下さったのですと、説いたのです。

  ペトロが語ろうとするのは、先ほど触れましたが、この男が癒され、私たちの罪が赦されて救われる背後には、長い神の救いの歴史があるという事です。メシアが苦しみを受けてやがて実現されることになる、だがそこに至るまでの旧約以来のイスラエルの長い罪の歴史があります。神の真実にも拘らず、彼らは繰り返し、繰り返し罪を犯して来ました。旧約聖書は人間の罪の歴史を記していると言われるのも、もっともです。これほど罪を犯し続けた民族も稀ではないかと思われるほどです。

  それにも拘らず、今、メシアの十字架の処刑という苦しみを通して実現された贖(あがな)いにより、神の前に悔い改め、イエス・キリストによって罪が消し去られて再出発すれば、慰めの時が訪れ、新しい使命が与えられて、再び喜びをもって再出発できるとペトロは説くのです。個々人の新生であり、復活であり、死者からの甦りです。

  別の言葉で言えば、キリスト教は、自分の過去の歴史、自分が自覚したりしなかったりする中で犯した罪の歩みも、心から悔い改めるなら、キリストの愛と赦しの故に、どんな人も再出発させて下さるという事です。むろん他者の過ちもです。

  ごまかさず、修正しない。正直である。キリスト教は歴史を丸ごとありのまま受け取り感謝します。自分をごまかさない歴史に立つ時、自信と喜びをもって生きうるでしょう。ごまかしている限りいつ見つからないかと、心の底はおどおどしています。神の前の正直さ、それが骨太な生き方を保証します。これは心理学ではありません。活けるまことの神との出会いから生まれるエネルギーです。

  これは個人の事だけでなく、例えば国の歴史もそうです。どの国も、歴史を紐解(ひもと)けば罪と汚れが錯綜しています。日本も韓国も中国も、長い歴史を振り返ればそういうもので満ち溢れて一杯です。大罪を起こすこともあるのが国であり、また個人です。


         (つづく)


                                             2019年2月24日



                                             板橋大山教会  上垣勝




  ホームページは、 http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/

  教会への道順は http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/img/ItabashiOyamaChurchMap.gif


                               ・