曲がったものを真っ直ぐ見る

　　　　　　　　　　　　子どもたちに見せたブドウの枝と巻きひげを捨てちゃったのでこれで代用します。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　信仰による義　（上）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ガラテヤ２章１５－１６節


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（序１）
　　皆さん、おはよう。さっきは楽しい遊びでしたが、今は、大人の人たちと今年初めての礼拝ですね。

　　この字なんて読みます？Ａちゃん。そう。大人（おとな）ですね。他に読み方があります？難しいよね。大人：たいじんと読めますね。普通は「だい」だけど「たい」とも読めます。じゃあ、これは？ウン、小人「こびと」だね。その他に。そうだ。「しょうにん」だね。三田線に乗るとき、小学生以下は小人で乗りますね。日本語の漢字って色々読み方があって面白いですね。小人は他にも読めますか。さっき、「たいじん」と読みましたから、これは「しょうじん」と読めるのです。

　　私は小学生の頃は大きな川のそばに住んでいました。その川が好きで夏は泳いだり、潜って魚を取ったり、楽しい事がいっぱいありました。冬は堤防の草が枯れて、枯草の上を歩くのが好きでした。ウサギを飼っていたので、ウサギを放して、追いかけて遊んだり。

　　５年生の冬、今頃です、川の向こう側にわたって、冬枯れの堤防の草原を歩いていたら、見かけないオジサンが堤防の斜面の草原に座っていました。日向ぼっこをしてたんだと思います。周りには誰もいないので、私は用心して歩いていたら、オジサンが声を掛けて来たのです。

　　オジサンと言いましたが、もうお爺さんでした。何年生だいとか尋ねられ、ちょっとお話ししました。そして最後に、こう言ったのです。「大人たるとも恐れるな。小人たるとも侮るな。」意味はよく分からなかったですが、何か、非常に深い事を言っている気がしました。

　　５年生のＢさん、どうでしょう、分かります？そうだよね、ちょっと分かるんだけど、すっかり分かる訳ではないんだよね。

　　そうなんだけど、何か、非常に深い事を言っていると思ったので、その爺さんと別れて、大急ぎで家に帰ると、忘れないようにその言葉を何かに書き留めたのです。今から６０数年も前だけど、今も忘れませんしきっと死ぬ時まで覚えていると思います。

　　大きな人、怪物のような巨人の前に行けば怖いでしょう。小さな人なら怖くない。でも、大人というのは、ものすごく優れた人、偉大な人も指しているのです。そんな人も恐れるな。そして小人。自分より大したことがないと思う人も、侮るな。馬鹿にするなっていうことです。

　　さて、先ほどの聖書は、「神の御業を見よ。神が曲げたものを、誰が直しえようか」でした。

　　これを見てください。ブドウの枝です。ここに付いているのは「ひげ」って言います。「巻きひげ」とも言うんです。巻いているでしょ。何をするかというと、ブドウの枝はヒョロヒョロしてるから真っ直ぐ上に伸びれないだろ。それでこのひげを所々で出して、何かにつかまって伸びていくんだ。ところが不思議でね。こうしてつかまろうとしてもつかまるものがないと、何日かすると、このひげは枯れてなくなるんだよ。でもつかまるものがあれば、そら、このようにひげが太くなるんだよ。神様はうまく作って下さっているんだ。

　　このひげは、二つとして同じ形のものがないんだ。だから一つ一つ独特だよ。色々に曲がっているよね。そら、こんなに不思議な形をしている。

　　さっきの聖書に、「神が曲げたものを、誰が直しえようか」ってありましたね。このひげは、神さまが曲げたと言えるかな。言えないかな。言いにくいですがでも言えるとも言えます。

　　このひげ。誰か、ピンと張って真っ直ぐにできる？真っ直ぐに直せますか？できないよね。そら。こんなになっちゃう。かなり真っ直ぐになっても、…手を放すと元通りだ。

　　じゃあ、これは曲がってるけど、この曲がっているのを真っ直ぐ見るにはどうすればいい？複雑にくねくね曲がっている。これを真っ直ぐ見る。さあ。誰か真っ直ぐ見れますか？

　　曲がっているものを真っ直ぐ見るには……。

　　そのまま見ればいいんだよ。曲がっているのを真っ直ぐ見るために、真っ直ぐ直して見なけりゃあならないのでなく、曲がっているままにそのままに見る。

　　あの子はもう少しこうなればいいのに。この子はこんな風になるといい。人は自分から見て、色々歪んでいる所があるんだよ。それを直したいんだ。しかし出来ないんだ。その時、その歪んだままをそのまま素直に見る。それが真っ直ぐ見るってことなんだ。

　　「神の御業を見よ。神が曲げたものを、誰が直しえようか。」神さまが曲げたものを見る時に、そのまま見る事が大事なんだ。そのまま受け入れるってことだ。祈りましょう。


　　　　　　　（つづく）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１９年１月１３日



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　板橋大山教会　　上垣勝





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