元旦に何を求めました?



               2019年の曙光。千葉ポートタワーに行ってみました。
                   ごめん。上は雲間からの2019年初日の出でした。
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                                                  知恵の源へ旅しよう (上)
                                                  箴言1章7節 



                                 (1)
  皆さん、明けましておめでとうございます。今日は箴言を味わって、新年を迎えたいと思います。新年の最初に箴言を味わうことは、かつて私はありませんが、今年はそれをしてみたいと思います。

  「主を畏れることは知恵の初め。無知な者は知恵をも諭しをも侮る」とありました。詩編111篇にも、「主を畏れることは知恵の初め」と、同じ言葉が出てきます。そのあとは、「これを行う人はすぐれた思慮を得る。主の賛美は永遠に続く」とあります。いずれにせよ、聖書は、主を畏れ敬うことが、知恵の初めであり、知恵を授かる大本(おおもと)だと語るのです。

  箴言は31章までありますが、このみ言葉は全箴言の中心、心臓と言っていいでしょう。箴言の要です。畏れるとありますから、奴隷が横暴な主人を恐れるような恐れではありません。恐怖でなく、敬愛してやまず、喜び慕う、畏れです。あらゆる知恵はここから湧き出すのです。

  箴言の大半はソロモンが書いたと言われていますが、彼は1章4節で、知恵は「未熟な者に熟慮を教え、若者に知識と慎重さを与え……、賢人もなお説得力を加え、……指導力を増す」と語っています。熟慮と知識、慎重さと説得力、リーダーシップを加えるのが、主を畏れることから生まれる知恵だと言うのです。いずれも現代の社会人たちが求めるものです。ですから箴言は現代人も聞くべきものを持っています。

  知恵は知識と似ていますが、そうではありません。知識をいくら集めても知恵になりません。知恵は物事の奥の奥にある真理であり、多くは苦しみ抜いて得た知恵であり、悩んだ末に到達した悟りや境地でもありますが、それだけでなく「主を畏れる」ことへと導かれたものです。

  「主を畏れることは知恵の初め」とは、主を信じることから来る知恵です。「主」、ヤハウエとは、もともと「ある、存在する」という意味ですから、天地万物、私たちを含む森羅万象を在らしめたお方を知ることが、知恵の源だと説くのです。

  要するに人間と存在、すべてを超えた方を知ることが知恵の要だということです。この方を知れば、私たちの生は完全に神からの貸与であり、死に逝く時に、神に自分をお返しするという考えになります。すると、自分を突き放し、自分を相対化して笑うことも可能です。衰えて忘れっぽくなることも神の摂理です。だからそんな自分を笑えばいいのです。自分だけでなく人間そのものを笑い飛ばし、同時にその尊厳を尊ぶことも可能になります。

  列王記によると、ソロモンがダビデ王の死後、盤石な王権を継いだ時、ある夜の夢の中で、「何でも願うがよい、与えよう」と主が語られるのを聞きます。すると彼は、「私は取るに足らぬ若者で、どう振舞うべきかも知りません。ですから、民を正しく裁き、善悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与え下さい」と願ったのです。すると神は、あなたは「長寿も富も敵の命も求めず、善悪を正しく判断できる知恵を求めた」と喜ばれ、「あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える」と約束された後、「あなたの求めなかった、富も栄光も与える」と言われたと書かれています。

  この年、私たちは何を求めるのでしょう。多くの人が元旦からお寺や神社に繰り出して家内安全、無病息災、商売繁盛、家運隆盛、昇進出世などを、お賽銭を投げ入れ、柏手(かしわで)を打って願ったでしょうが、誰がソロモンのように、「私に聞き分ける心をお与え下さい」と祈ったでしょう。彼は知恵の源へと向かったのです。彼は王座に就いても、権力や富でなく、栄誉でなく、「聞き分ける心」という素晴らしいものを求めました。彼は知恵に向かって人生の旅を始めたのです。私たちはこの新年、どのような旅をするのでしょうか。

       (つづく)


                                                2019年1月6日


                                                板橋大山教会  上垣勝


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