2人の女の出会い


    ポターの家を見終わって、帰ろうと壁を見上げると銃と長い銛(もり)が掛かっていました。
        係りの女性に、ポターは猟をしたんですねと聞いたら、いやめっそうもない、
             これは彼女の夫が使っていたものですとあわてて打ち消しました。冗談で聞いたんですが。
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                                                   喜び踊る胎児 (上)
                                                   ルカ1章39-45節



                                 (1)
  2018年の最後の礼拝に、マリアとエリサベト、2人の女性の出会いから福音を聞いて、この年を閉じたいと思います。

  先ず、結婚前の若いマリアは先週学びましたように、外見は弱々しい、おそらく栄養失調気味の青ざめた貧しい田舎娘でしたが、気持ちは晴れ晴れした勇気ある女性でした。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と、大胆に応答したのです。

  ではその後、彼女はどう辿ったでしょう。マリアの言葉をみ使いが聞くと、「天使は去って行った」と記されています。マリアの言葉にすっかり満足したかのように安心して去っていたのです。多分、ニッコリ笑みを浮かべていたでしょう。

  一方、マリアの方は、み使いが語った「あなたの親類のエリサベトも男の子を妊娠している。不妊の老齢の女性に拘わらず、もう6カ月だ。神に不可能なことは何もない」という言葉に勇気を授けられたでしょう。これまで会ったことがあるかどうか分かりませんが、年配の遠縁の叔母さんにも、自分と同様の不思議な神の、聖霊の業が起こって、不妊なのにもう6か月目に入っていると聞いたからです。

  そこで、エリサベトさんに一度お会いしてみようと、「急いで山里に向かい、胸ときめかしてユダの町に行った。」そしてザカリアの家に入ってエリサベトに挨拶したのです。マリアは名門の出であるエリサベトの親戚でなく、家柄の低い祭司ザカリアの親戚だったのでしょう。だから「ザカリアの家に入って」とわざわざ語っている気がします。

  ナザレから低い山を幾つも越えなければ、エリサベトたちが住むユダの山里に行けませんが、妊娠間もなく、数十キロの山道を喜び勇んで辿ったのです。そこには喜びと共に、人間ですから、一抹の心の不安があり、そのことも訴えたかったでしょう。

  「マリアの挨拶をエリサベトが聞いたとき、その胎内の子がおどった。」するとエリサベトは「聖霊に満たされて、声高らかに」こう言ったのです。「あなたは女の中で祝福された方です。」これは、女性の中で最も祝福された方という意味です。「胎内のお子さまも祝福されています。わたしの主のお母さまがわたしのところに来てくださるとは、どういうわけでしょう。あなたの挨拶のお声をわたしが耳にしたとき、胎内の子は喜んでおどりました。主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、なんと幸いでしょう。」まさに喜び踊る胎児です。

  彼女は、息せき切って突然訪ねて来た、夫の遠縁にあたる貧しい身なりの若い女性の挨拶を受けた時、聖霊に満たされて心からの祝福を送ったのです。エリサベトは嬉しさのあまり声高く張り上げて、心から歓迎の言葉を送りました。何と晴れ晴れしたすがすがしい最高の祝いの言葉かと思います。

  彼女の祝福はお世辞やお愛想でなく、本心から出たもの、心の底から感じたことが口を突いて出たのです。だからか、挨拶がエリサベトの耳に入るや、胎児も共になって「喜び踊った」のです。この言葉が41節と44節で2度も記されているのは、母子共に揃っていかに心から喜んだかという事を語ろうとしています。喜び踊るとは、喜びジャンプしたということです。胎児が動いたり、足で蹴ることがありますが、お腹の中でジャンプした、飛び跳ねたというのは聞いたことがありません。いかに母親と一体になって喜んだかが分かります。

  するとマリアは、これに呼応して喜びの内に「マリアの賛歌」という、素晴らしく美しい歌を歌いました。そして3か月ほど叔母さんの家に留まったのです。

     (つづく)


                                                2018年12月30日


                                                板橋大山教会  上垣勝


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