天に響いた歌声


                  イヴ礼拝は久しぶりの静かなキャンドル・サーヴィスでした
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                                                羊飼いらが聞いた歌声
                                                ルカ2章6-14節



  クリスマスおめでとうございます。しかし、中には今年、ご家族を亡くして地上の再会が出来なくなった方々もおられ、心の中や教会に来て、故人の面影やその方の本質と再会できるという方々もおられます。

  私はこれまでに50回ほどのクリスマスを迎えましたが、毎年、クリスマスは違っていました。違っていていいのです。私たちの状況と共に色々な思いでクリスマスを迎えざるを得ません。その違いが人生を貴くもして来たのです。

  さて、マリアは旅先で出産しました。しかも馬小屋です。大昔の旅人は現代人の想像をはるかに越えています。旅人は宿の予約なしに行きましたから、時に野宿したり、道端で寝たり、家畜と一緒に眠る場合もあります。

  ヨセフとマリアはベツレヘムで泊まる宿がなく、幸い動物小屋に案内されてそこで出産しましたが、それでも雨露がしのげる場所があって幸いでした。馬小屋での出産を「幸い」と言いましたが、現代では違和感がありますが、これが人類のたどって来た生きた現実です。ですから若い夫婦が、家畜小屋で出産を迎えても気に留める人もなかったかも知れません。気に留める人がなくても、人生の本来の厳しさが垣間見られますが泣くことはできません。

  しかし、天の神は貧しい彼らの行動を静かに愛のまなざしで見守っておられました。人は泣いてはならない涙の現実を抱えても、誰も泣いてはくれない場合が多くありますが、神はじっと愛のまなざしで見守って下さっているのです。それは私たちに対してもそうです。

  み子が生まれた時、「主の栄光が周りを照らした」とありました。ベツレヘムの野原で夜空が急にまばゆく輝いたのです。これまで見たことがない聖なる明るい輝きだったのでしょう。

  深夜にこのまばゆい輝きを見たベツレヘムの住民はいませんでした。しかし野宿して羊の番をしていた羊飼いらは、不思議な輝きに目を見張ったのです。聖なる光が遠く何千年もの彼方から自分らをめぐり照らしたように思えて、非常に恐れました。レンブラントなど多くの画家がこの場面を描きましたが、中に、羊たちは何のことか分からずキョトンとしている一方、羊飼いらは聖なる光に撃たれて、慌(あわ)ててひれ伏している絵があります。これまでの人生で一度も見たことがなく、古くからの羊飼いの言い伝えにもないものだったからです。

  天を覆う聖なる光に呆然(ぼうぜん)としている彼らに、主の使いが現れて、「恐れるな。民全体、すべての民に大きな喜びを告げる」と語って、預言されていたメシア・キリストの誕生、飼葉桶に寝かされている幼子の事を告げたのです。世界のすべての人に告げられた喜びでした。この幼子に人類の喜びと幸せが掛かっているという意味をもっていますから、まさに大きな喜びでした。

  そしてみ使いが語り終わらぬうちに、数え切れない天の軍勢が明るい光を放って現れ、み子の誕生をたたえる歌を歌ったのです。歌声は寝静まったベツレヘムの家々を包み、野原も丘も越えて響き渡りました。これが羊飼いらが聞いた歌声、世界で初めて歌われたクリスマス・キャロルです。

  人みな眠る夜、こんな美しい聖なる光景を私たちはほとんど見たことがありませんが、彼らには見えたのは、貧しい羊飼いらは信仰の目をもって見たからでしょう。信仰の耳をもって聞いたからです。

  み使いらは歌い、貧しい羊飼いらは草むらに座ってじっと耳を傾けていました。するとその歌声は、海を越え、陸を渡り、国境と民族を超え、2千年の年月を超えて、やがて私たちにも届けられたのです。

  こんにち、世界には20数億のキリスト教徒がいます。世界人口の約3分の1です。言わば、天に輝く無数の星のように世界に輝いています。むろん、私のような眠っているような牧師やクリスチャンもいるでしょうが、目覚めて輝いている人たちも多く、今宵、多くの国でみ子の誕生を喜び祝って、地上から紛争がやみ、正義と平和が一日も早く訪れるように祈っているでしょう。

  「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。」私たちも、大山の地から、主に向かって神の栄光をほめたたえ、貧しい人たちの飢えが満たされ、地上にくまなく平和が来るように祈りましょう。特に、御心にかなう人たちの、迫害や苦しみが一日も早く取り除かれ、平和が来るように祈りたいと思います。

          (完)

                                              板橋大山教会  上垣勝





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