勇気ある女性


        ヒル・トップの彼女の書斎にはいつも何枚もの弟の絵が飾られていました    右端クリックで拡大
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                                                  勇気ある女性 (3)
                                                  ルカ1章26-38節



                                 (3)
  それにしても、「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」と呼びかけられて、彼女は「戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ」のです。彼女はこの言葉に心が乱れ、不安にさせられました。ガブリエルが告げたことが、常識と余りにも隔たっていたからです。彼女は貧しかったが常識のある女性であったから、ガブリエルの伝えた無謀ともいえる言葉を信じていいのか、信じてはいけないのか惑ったのです。

  そこでガブリエルはすぐ、「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい…」と語りかけました。

  神から恵みを頂いたとは、「神の好意を得た」という意味です。好意というのは不思議でフッと湧きます。女性に、男性に、なぜかしら好意を抱く。ちょっとしたフィーリング、直観です。だが後からとても後悔することにもなったりしますが、ピタリ当たることもあります。ただ神の好意です。マリアの一切の姿から、彼女は卑しい身分だが神に一貫して従う誠実な人であると見抜かれたのでしょう。マリアの方も、取り入ったり、背伸びしたりする様子は少しもありません。

  そして、「あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない」と告げられます。

  いちいち注解はしません。その子は偉大な人、いと高き方の子と言われ、神はダビデの王座を下さる。支配は終わることなく続く…。いずれも最高の栄誉です。これらは一方的に神がお与えになるもので、マリアの努力や意志や功績ではありません。子どもの名前まで決められていて、貧しい一介の田舎娘には余りにも大きすぎる約束です。

  彼女は、「どうして、そんなことがあり得るでしょう。わたしは男の人を知りませんのに」と答えました。私はまだ嫁入り前で、そんなことが起こるとはとても考えられませんと語ると、天使は、「聖霊が、いと高き方の力があなたを包む。生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。親類のエリサベトも男の子を妊娠している。不妊の老齢の女性に拘わらず、もう6カ月だ。神に不可能なことは何もない」と明言したのです。

  ここに至ってマリアは、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と語って、み告げを大胆に受け入れたのです。凄い口説き方です。彼女の方も何と思い切りのいい、勇敢な女性かと思います。

  外見は弱々しい、おそらく栄養失調で青ざめた貧しい田舎娘ですが、み使いの言葉に勇気をもってはっきりと応答したのです。自分にそうなる力があるとか、そういう人間だというのでは決してありません。私は主のはしため、主に仕える僕です。お言葉通り私をお使い下さい。いかなることが私の身に起こりましょうとも、それをお受けいたします。それがマリアの答えであり、そういう魂を彼女は持っていたのです。非常に惹きつけられる女性です。

  神は素晴らしい女性に目を留められました。生涯彼女は高慢に振舞うことなく、高ぶることなく、心低く、気高く、穏やかな心で主に仕えたのももっともです。47節の「わたしの魂は主をあがめ、わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます」という言葉は、彼女の一生を貫く気高い人となりをいみじくも言い表しています。

  「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」これはマリアの言葉ですが、もし私たちも同様の応答ができれば何と素晴らしい事かと思います。男女を問わず、何才になっても、キリスト者が目指したいのは、このような勇気ある応答ではないでしょうか。ここまで神に自分を掛けて応答出来たら何と心が澄むことでしょう。



        (つづく)

                                                     2018年12月23日



                                              板橋大山教会  上垣勝





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