神の恵みはひそかに存在しています


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                                                  歴史への神の介入 (上)
                                                  ルカ1章5-25節



                                 (1)
  イエスの誕生を迎える待降節第3週を迎えました。今日も教団が決めた聖書日課の個所を取り上げましたが、イエスの誕生の予告はどこにもありません。

  「ユダヤの王ヘロデの時代、アビヤ組の祭司にザカリアという人がいた。その妻はアロン家の娘の一人で、名をエリサベトといった。二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった。しかし、エリサベトは不妊の女だったので、彼らには、子供がなく、二人とも既に年をとっていた。」

  当時ユダヤの祭司は2万人もいる宗教国家でしたが、24組に分けられ、アビヤ組は第8組でした。妻はアロン家の出ですから名門の出です。組が当番に当たるのは1年の2週間ほどで、その内の一人が籤に当たると神殿に入って祭壇で香をたいたのです。香は天に昇って、民の願いと祈りまた感謝を神に捧げるという意味を持っていました。

  ザカリアが香をたいている間、大勢の民衆が皆外で祈っていると、「主の天使が現れ、香壇の右に立った。ザカリアはそれを見て不安になり、恐怖の念に襲われた」のです。自分の他、誰もいない筈の祭壇の右にありえない者が現れたわけで、不安と恐怖でパニックに襲われたでしょう。

  すると、「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。…」願いは遠い昔の事でした。それが今、聞き入れられたというのです。その子は母の胎内にいるときから聖霊に満たされ、やがてイスラエルの民を主のもとに立ち帰らせる。彼はエリヤの霊と力をもって主に先立ち、…準備のできた民を主のために用意すると語ったのです。驚き耳を疑いたくなるような内容です。

  ヨハネは予期しない場所で、予期しないことを聞き、戸惑いました。しかも子どもが生まれない不妊の女性エリサベト、高齢の自分たちに、息子の誕生が告げられて、ただ呆然とするだけだったでしょう。

  彼が言えたのは、「何によって、わたしはそれを知ることができるのでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています」という事だけでした。どうしてそんなことが起こるのですか。理由と証拠を示してください、私はそんなことは決して信じられませんと疑問をぶつけたと言っていいでしょう。

  すると天使ガブリエルは、「あなたにこの喜ばしい知らせを告げたのに信じないので、あなたは口が利けなくなり、子どもが生まれる日まで話せなくなる」と告げ、神殿から外に出るとその通り一切ものをしゃべれず、身振り手振りで話すだけ。やっと子どもの誕生の時に舌がほどけて話せるようになったと言うのです。

  かつて彼ら夫婦は、子どもが授かるように熱心に願い祈っていたのですが、高齢になりすっかり諦めたのです。だが、その願いは思いがけない時期に実現した。神は祈りを叶えて下さったのです。だが、聞き上げられたものの同時にものが言えなくなり、不信仰を明らかにさせられたのです。唖になったのは彼への教育のためでしょう。信仰者であるが不信仰を明白に体で示されたのです。色々考えさせられる個所です。

  ここに語られているのは、要するに、イエス・キリストの誕生はどんなに深い、隠れた、人間が予想もしない所の準備があって起こったかです。イエスの名は一度も出て来ません。深く隠れています。神が人類の歴史に介入して来られますが、まだイエスが登場しない前、人が気づかぬ時からひそかに介入が始められていたと語ろうとしているのでしょう。

  私たちもたとえ気づかなくても、神の恵みの支配下にあることを忘れてはなりません。足音もなく神の恵みも支配も密かに存在しているのです。

     (つづく)

                                                   2018年12月16日




                                              板橋大山教会  上垣勝





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