何事も愛をもって


         ヒル・トップに建つ,ピーター・ラビットでなじみ深いTower Bank Armsにやっと着きました。
                                                  右端クリックで拡大
                                 ・



                                                 何事も愛をもって (下)
                                                 Ⅰコリント16章13‐14節



                                (3)
  さて13、14節ですが、「目を覚ましていなさい」とは、ギリシャ語で、眠らず見張ること、寝ずの番をすることを言います。いわば夜警です。そこから、油断するな、危険に備えて警戒せよという意味が出ました。

  ここでは、キリストは再び来られる、再臨される、そのことに目覚めていよ、という意味です。クリスチャンは目に見える世界だけの勝負をしているのではありません。最後にキリストが来て、最終的に裁いて下さる。決着をつけて下さる。だから、そのことに目覚めて、現在を生きるのです。今、すぐ報われなくても、諦めず、キリストのために人に尽くすのです。目覚めるのは、キリストに目覚めていることです。

  「信仰に基づいてしっかり立ちなさい」とあります。既に15章58節で、「わたしの愛する兄弟たち、こういうわけですから、動かされないようにしっかり立ち、主の業に常に励みなさい。主に結ばれているならば自分たちの苦労が決して無駄にならないことを、あなたがたは知っているはずです」という言葉を聞いています。信仰に基づき、キリストに結ばれているなら、労苦は決して無駄になることはないのです。この確信に立ち、ここに留まり続ける。これはいかに強調しても強調しすぎることはないでしょう。

  「雄々しく強く生きなさい。」雄々しくとは、男らしくとの意味です。神からの力によって男らしくあれ。強くあって、弱気になるな。女性に対する言葉でもあります。

  万事を愛の中で行うように。どんな立派な業も愛がなければ無益だと13章で説いて来ました。どんな有益なことも、人が驚くことも、教養ある知的な言葉も、愛がなければ、一切は無に等しいのです。愛なしに知識をひけらかしても空しい限りです。ですから、万事を、愛をもって行いなさい。パウロはこの手紙の随所で愛と祈りを強調して来たのはこの事です。

  そして最後に21節以下で、「わたしパウロが、自分の手で挨拶を記します。主を愛さない者は、神から見捨てられるがいい。マラナ・タ(主よ、来てください)。主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。わたしの愛が、キリスト・イエスにおいてあなたがた一同と共にあるように」と書いて、筆を置きました。

  最後に、彼は自分の手で挨拶を記しました。これまで口述筆記で書いて来たのです。会長などが偉そうに秘書に書き取らせたのでなく、眼病を患い、殆ど見えなくなっていたからしたことです。だが、21節以下は手ずから挨拶を記すのです。手紙はここだけは自筆でした。

  ただ、「主を愛さない者は、神から見捨てられるがいい」と最高に厳しいことを記しました。これは無論、教会外の人たちへの言葉ではありません。そうではなく、教会に来、キリストを信じ、洗礼を受け、教会の一翼を担うようになっている人に対する忠告であり、警告です。キリストにつながる人たちに自らへの戒めとして、心に刻むべき言葉を書いたのです。

  そして「マラナ・タ」、主よ、来たりませ。主よ、我らの苦境をご覧下さり、救うために早く来て下さい。あなたが何とかして下さらなければ、この世の問題は解決しません。一層闇が深くなるばかりですということです。悩みも苦労もしばしば喉元に達するばかりです。早くおいでください。助けてください。

  今、再びナショナリズムがあちこちで台頭し始め、地球の環境保護の歩みが足踏みし、温暖化が加速し、人口が爆発的に増えてもう80億にならんとしています。食糧問題は門口まで来ています。世界的に格差が広がり、現役で働く人たちの生活はますます多忙を極め……。「マラナ・タ」、主よ、来たりませは、今日の世界の切なる思いでもあり、万民、万国、あらゆる時代の信仰者の思いではないでしょうか。

  こういう世界において、目を覚ましなさい。信仰に堅く立ちなさい。勇気を持ち、強くあれ。万事に愛をもって行いなさい。この5つの戒めをもって、自分の問題と教会の問題や社会の問題を担っていくようにと、彼は勧めるのです。


       (完)


                                                  2018年11月18日



                                            板橋大山教会  上垣勝



  ホームページは、 http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/

  教会への道順は http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/img/ItabashiOyamaChurchMap.gif


                               ・