折れそうになる先生たち


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                                          君の値打ちが出る (中)
                                          Ⅰコリント12章12-26


                              (2)
  さて、もう少し内容に入りますが、先程子ども達に前半を分かり易くお話し下さったこともあり、長くもありますので、22節以下を中心に考えましょう。

  先ず、「それどころか、体の中でほかよりも弱く見える部分が、かえって必要なのです」とあります。「それどころか」とは、体には強い部分も弱い部分もあるが、強い部分は弱い部分に、君は僕と同じように強くないから不要だなどと言わない。「それどころか、体の中で他よりも弱く見える部分が、かえって必要なのです」と語るのです。

  「他よりも弱く見える部分」とは、原文では最も弱く見える部分の事ですが、その部分が絶対に不可欠だと語るのです。体にとって、一番弱い部分が欠かせないというのです。

  競争社会が益々凄まじくなります。それと共に、息苦しいギスギスする関係が一段と増して来た気がします。各自が置かれている場所で温度差がありますから、あまり感じない所にいる方々もあるでしょうが、中には、このまま行くと、いつか社会が崩壊するのでないかと危ぶむ人が出始めている気がします。環境問題のことを考えても、人類は今岐路に立っているかも知れません。

  しかし、教会は競争社会の中に存在しますが、「他よりも弱く見える部分が」、不可欠だと考える所なのです。弱い部分が必要なのは、強い部分が、弱い部分を餌にするためでないのは勿論です。支配の為や、上に立つためではありません。そうでなくて、互いに助け合うため、補い合うためなのです。この協力関係によって教会は存在意義を発揮し、神から授かっている尊い証しをするのです。

  今はまだ不十分ですが、少しずつ統合保育とか統合教育いう保育や教育の仕方が広がりつつあります。ただ文科省は保守的で、障がいを持つ子と持たない子が一緒に勉強するのを積極的に推進しません。文科省は競争に軸足を置いているので、場当たり的な専門家を置くだけで、責任的に積極的に推進する専門家を置かないのです。むしろ色々な場面で競争原理を導入していますので、先生達にも非常な負担が掛って折れそうになって、精神的に病む人が増加しているのです。息苦しさは大変なものです。

  もし障がい児が一般の子ども達から完全に隔離され、特殊な環境で教育されるだけだと、大人になっても一般社会になじむことが出来ません。今はそこまでは隔離しませんが、統合までは進めようとしないのです。しかし子ども時代から普通の社会を経験していれば、大人になっても普通の社会になじむことが出来るでしょう。

  障がいを持つ子供は普通の子ども達の成長の妨げにならないどころか、むしろ障がい児と普通の子が日常的に交流することで、普通の子の人間としての視野が広がり、人として豊かに成長します。また普通の子も、それぞれハンデをもっていますから、ハンデをもって生きるとはどういう事かを障害児から学びますし、この面でも人間を深くとらえて成長することが出来るでしょう。

  実際に障がい児が幼稚園にいますと、そして統合教育の専門的教育が教師にされますと、障がいを持つ子も持たない子も自由に助け合って遊びを考え出して行きますし、日々の中で思い遣りが育ちます。それが大人まで続けば、大人の社会でも障がいを持つ人と一緒に仕事をする時に、どう工夫すればいいか、一緒に考え合うことで、面白い社会が生まれる可能性があります。

  少なくとも、障害者雇用の法律を中央官庁の役人が作って一般企業に押し付けておきながら、中央官庁の8割が障害者雇用数のごまかしをするなどという、ずるい仕方などはしないでしょう。中央官庁がここまで腐ったかと思っている方もあるでしょう。開いた口がふさがりません。

  今、パウロが言うのは、教会は私たちの体と同じであって、秀れた部分や強い部分だけで成り立つのでなく、むしろ「ほかよりも弱く見える部分が」絶対不可欠とする所だということです。私自身を考えても、左手はボールを遠くに投げることが出来ませんし、握力も左手は弱いです。それを右手がカバーして、ボールを両手でキャッチしたり、投げたり、協力し合っています。5本の指も互いに協力しています。同様に、教会もキリストを頭として互いに助け合う所だと語るのです。

  こう語るのは、パウロがそこを去った後、コリント教会に弱い人を排除せる人たちが入って来たからです。


        (つづく)

                                       2018年9月2日



                                       板橋大山教会  上垣勝



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