葬儀が終わった夜


   西暦200~600年、中央アジア~インド北部地図。
     仏教が北西に伝わり、やがてこれらの地はイスラムによって全滅させられた。アシュモレアン博物館で。
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                                           取るに足らぬ僕 (上)
                                           ルカ17章7-10節



                               (序)
  今日の題は、「取るに足らぬしもべ」と司式者がお読みくださいました。それでOKです。ただ、「取るに足らぬボク」とも読めます。ですから最初は「しもべ」でお話しますが、後では「ボク」として少しお話し致します。

  その前に、去年の6月から先週で6人の方が召されて、先週の葬儀までは気が張っていて元気でしたが、火葬場から帰って来て無性に居ても立ってもおれなくなりました。どこか遠くへ行きたいと思いました。フラッと知らぬ大きな街か大自然の中を、道に迷っても迷ったままどこまでも歩き回りたいと思いました。

  でも直ぐに行けませんから、大山の付近を夕方と夜に2度歩き回りました。どこを歩いて探せど、どの街角に立って呼べどAさんの姿がないのです。23日に動脈瘤破裂と聞き病室を訪ねましたら、Aさんが静かに眠っておられるので耳元で何度も呼び掛けました。でもあのようにお顔が輝いたAさんはうんともすんとも返事をなさらない。あの大きな目をぱっちり開けそうなのに一言も語らず黙っておられるのです。額を触れさせてもらったら温かさの消えた異常な冷たさでした。本当に悲しかった。葬儀が終わった夜、Aさんのマンションの付近も歩きましたがあの最上階の部屋は真っ暗でした。Aさんだけでなく、ハッピーロードを歩いてもBさんは1年前から姿がありません。「みらべる」や「ダルマ市場」そして栄町にCさんの姿を探しても、彼女はこの1月以来発見できないのです。それでどこか遠くに行って、この親しかった人たちを見つけられる所があるなら見つけたいと思ったのです。

  解けぬ曇りが晴れぬまま、やるせない思いを抱いてその日は休みました。翌朝は葬儀関係で1日か2日遠ざかった祈りの時を持ちました。そしてテゼの歌1番を歌い、131番を歌っている時に、やっと曇りが晴れて来ました。

  暫らく前にも歌ってご紹介しましたが、こういう歌です。「闇の中に」と「あなたの消えぬ灯(ひ)が輝き」と言う言葉に心を集中して何度も歌うのです。「闇路の中、闇の中にあなたの消えぬ灯(ひ)輝き、闇路の中」と繰り返し繰り返し歌い、聖書を読んでから、131番の、「とわに歌おう、主に向かって、命の限り主を讃えよ、私の喜びは、神から溢れ出る。」これも繰り返して歌いました。これらは聖書の1節ですが、私の訳ですので心にピッタリ響きます。すると、この状況を恐れてはならぬ、その必要はない。「恐れるな、たじろぐな」という声が聞こえたのです。一晩寝て、主の前に出て、み言葉が聞こえてやっと気が晴れました。

  皆さん、気が重くなる今の時ですがこの状況を恐れてはなりません。負けちゃあならない。たじろいじゃあいけません。今は試練の時ですがこの試練の中に必ず神の栄光が隠されています。試練の峠を通って神の栄光が輝き出ると信じて前進して行きましょう。主が共におられるのです。心を高く上げて進みましょう。

      (つづく)

                                         2018年7月29日



                                         板橋大山教会  上垣勝



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