千鈞の重みがある言葉


 オックスフォード大のアシュモレアン博物館は1863年創設。大学運営の中で世界1のコレクションとか。
                        ラファエル展が間近でした
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                                            夕陽が沈むとき (中)
                                            創世記1章1-8節



                              (3)
  さて、子どもたちが帰りました。先程の聖書ですが、「初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた」とありました。

  「初めに、神は天地を創造された。」この言葉を理解できた人は聖書をすべて理解したと言っていいでしょう。そして自分と隣人、また生も死も、万物をも感謝を持って受け留める人になるでしょう。

  私たちの住む地球は太陽系の中にあります。太陽系は銀河系のどの辺にあるかというと、どうしても自分中心に考えるので銀河系の中心辺りにあるのでないかと思ったりしますが、そうではなく、中心よりもずっと端の方に太陽系があります。田舎で電車に乗っていて、村はずれにポツンと一軒家がある事がありますが、太陽系も銀河系宇宙の外れにあってかわいそうに思ったことがありました。

  銀河系の中だけで、太陽のような星、恒星と言いますが2千億個ほどあるそうです。ところが銀河系のような宇宙が、宇宙全体で3千億はあるというのですから、2千億×3千億程の太陽が全宇宙の中にあるということでしょう。そして各々の太陽に地球のような惑星が幾つもありますから、全宇宙には途轍もなく多く、数え切れない天文学的な数の星々がある訳です。しかも太陽の中には私たちの太陽の何百倍も大きな太陽があるというのですから、宇宙全体というのは想像を絶します。

  しかもこの地球上には川があり、池があり、山があり海があり、様々な生物が住んでいます。その種類だけで3千万種いるというのです。驚くべき多様な生物が地球に生息している。

  また私たちの脳、神経細胞は500億とか1千億あり、その細胞が働くために1分間に700㏄程の血液が循環していますし、血管の総延長距離が約9万kmというのです。驚くべきものに造られている。

  これらを考えると、「初めに、神は天地を創造された」という言葉は、千鈞(せんきん)の重みがあると言わざるを得ません。

  次に「地は混沌であって」とありますが、前の訳は、「地は形なく空しく」となっていました。その方がピッタリします。「闇が深淵の面に」とありますが、この闇は私たちが知る薄暗がりでなく、漆黒の闇、完全な闇です。

  「神の霊が水の面を動いていた。」これは神の風が水面に吹いていた。あるいは神の霊が、神の力が表面を覆っていたという意味です。

  今日はペンテコステです。弟子たちの上に神の霊、聖霊が降って、これまで恐れに満ちていた彼らが大胆に街頭に出て、イエスの復活を説き始めました。まさに神の霊が彼らの上に吹いたのです。あるいは神の力が彼らを覆ったのです。そして彼らは神の力によって変えられて行った。創造の初めにも神の霊が地球の表面全体に吹いていたが、その霊が弟子たちの上に吹き、地上に教会が生まれたのです。

  1節、2節が語らんとするのは、私たちがいる天地宇宙、この世界は、偶然に出来たのでなく、神の意志で造られたと言おうとしているのでしょう。例えば宇宙の起源についてビッグ・バーン説というのがあります。最初にビッグ・バーンがあって、その爆発から宇宙がドンドン膨らんで、今も膨張をしていて現在の宇宙があると言います。だがやがては、宇宙が収縮する時が来るかも知れない。それは宇宙の死滅につながるとも言います。不安にさせる仮設です。大きく見れば夢も希望もありませんね。運命説、宿命説です。生きていたって何ら意味がない。どっち道……。そういう投げやり感がどこかに漂うのが今の世界です。

  ところが、聖書は、神が天地を創造されたのであって、何の意味もない偶然の所産ではない。神の意志で、愛を持って造られたと語るのです。そして私たち人間も偶然生まれたのでなく、愛を持ってお造り下さったと説くのです。

  「初めに、神は天地を創造された」とは、神は愛を持って天地を創造されたのであって、私たちは神の愛の中で造られ、そこで生活しているということです。私たちの源は神である。しかもその愛であるということです。

  そういう愛の中で、教会についても「恐れるな。小さな群れよ」と呼び掛けられ、「あなた方にみ国を下さるのは、父なる神の御心である」と言われているのです。


       (つづく)

                                         2018年5月20日




                                         板橋大山教会  上垣勝



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