忘れられない誕生日


         石神井川沿いの桜は見事です。ぜひ一度歩いてみてください。
              今日が最高でしょう。数は少ないですがほのかににおう匂い桜もあります。
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                                           あなたの王が来る (上)
                                           ヨハネ12章12-16節


                               (1)
  今日の所に「ナツメヤシの枝を持って迎えに出た」とありました。ナツメヤシは元の言葉は「ホイニックス」となっています。ホイニックスと言うと分りにくいでしょうが、フェニックス、不死鳥という言葉はここから来ました。エジプトでは、不死や永世の象徴になっているフェニックスです。

  今日の日曜はイエスエルサレム入城を記念して棕櫚(しゅろ)の主日と呼び、ホサナの日曜日とも申します。エルサレムの大勢の群衆が棕櫚の、即ち不死鳥とも言われるフェニックス、ナツメヤシの枝を手に手に持ってイエスを歓迎したからです。来週はイエスの復活を記念するイースターになります。

  彼らは、「ホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように、イスラエルの王に」とあるように、イエスを王として迎えたのです。「ホサナ」とは、「今、来たりませ」とか、「神をほめたたえよ」という意味ですが、「万歳」と叫んで歓迎したと解していいでしょう。「王」とあるのは国王を指します。ナツメヤシの枝を振って歓迎することは、王のエルサレム入場でよく行われたからで、イエスをまるでイスラエル国王の凱旋のように歓迎したということです。

  「叫び続けた」とありますが、大声で絶叫して迎えたのでしょう。冬季オリンピックで2大会連続の金メダルを取って、銀座で凱旋パレードをして、人々の熱狂的歓迎を受けるような光景です。

  するとイエスはロバの子を見つけ、それに乗って入城されたのです。得意満面にロバの子に跨(またが)って入城されたのでしょうか。私はある時、200人程の人たちに囲まれて誕生日を祝って頂いたことがあります。全く予期しなかったのですが名前を呼ばれて大拍手で祝われました。これまで、そんなに大勢の人からお祝いされたことはありませんでしたから、感涙にむせぶというか、自分がこの世にいることが誇らしく、胸が熱くなり、それはフランスのテゼ共同体の聖書の集いの時で、それによって神から不思議な祝福を与えられたような気持がしました。15年前の3月24日、昨日の忘れられない思い出です。

  イエスも群衆の大歓声に、自信満々、手を振って応え、ロバの子の背に乗られたのでしょうか。

  違います。全くそうではありません。イエスは王として大歓迎するエルサレムの群衆に、一種の「否」を言うために、子ロバに乗られたのです。もし意気揚々と凱旋将軍のように群衆に応えて入場するなら、背の低い、貧弱な、のろまの象徴であるロバなどに乗りません。颯爽(さっそう)と白馬にまたがり、戦勝将軍として、馬上より剣を打ち振って、この腕でこの剣で勝利したと言わんばかりに入場されたでしょう。

  「イエスはろばの子を見つけて、お乗りになった」とありました。まだ誰も乗せたことがない若い子ロバです。「見つけて」とありますが、たまたま近くにいたのを見つけてという意味でなく、あちこち探して発見するという言葉が使われています。最初から子ロバに乗ろうとそれを捜して見つけられたのです。

  自分は、政治的な軍事的な救世主メシアではない。イスラエルローマ帝国から解放するために来たのではないことを、戦争と無関係なロバの子に乗ることで、無言のうちに語られたのです。

  「ブタもおだてりゃ木に上る」なんて言いますが、私などは軽薄な人間ですからおだてられたら何でもする所がある実に愚かな人間です。

  しかしイエス様はいかに大群衆が歓呼してもそれに乗られません。ご自分は、低い者たち、悩む者や、貧しい者、虐げられ、世で苦労したりする者と共にあり、彼らの所に来たことを示すために、馬と比べ一段と背の低いロバの、更に背の低い子ロバで入城されたのです。背の低い子ロバに乗ると、自分の背よりも頭一つ低くなります。


        (つづく)

                                         2018年3月25日




                                         板橋大山教会  上垣勝



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