イエスの使命


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                                             イエスの使命 (下)
                                             ルカ4章16‐22節



                              (3)
  次に「圧迫されている人を自由にし」とありました。これは弾圧され、打ちひしがれている者、粉々にされた者を指します。弾圧され、粉々に打ちひしがれた人々です。

  2、30年前によく話題になりましたが、この1月、新しい資料によって731部隊の素顔を明らかにしたテレビが放映されました。731部隊とは、旧満州ハルピン郊外に作った日本軍の恐ろしい細菌戦研究の秘密研究所です。研究所は徹底した情報統制のもと極秘で活動しました。その研究自体が国際法違反ですが、研究のために何と中国人捕虜を実験材料にしたのです。中国人がいらっしゃる前でこういう事を言うのは、日本人として恥ずかしい事ですが、これは事実です。生きた人間をモルモットや猿のように、実験材料にしたのです。いや、猿でも例えば両手をつけかえたり、両足をつけかえたり、手と足をつけかえたりする実験は動物虐待に当るでしょう。

  軍人だけでなく東大や京大から集められたエリート研究者たちは、憲兵たちが次々連れて来た約3千人に及ぶ中国人捕虜を思う存分実験材料にしました。人体実験用の特別監獄さえ作ったのです。

  日本から14、5才の下働きの少年隊員たちが呼ばれました。彼らは、日本民族は一段と優秀だという教育を徹底して施され、この地の捕虜は猿と同じで人間でないと叩き込まれ、彼らをマルタ10号とか丸太211号などと呼んで人とみなさず、実験材料として扱い易くしたのです。

  ところがソ連が参戦するや、この参戦については別の問題もあり今は触れませんが、証拠隠滅のために徹底的に実験室や監獄施設を爆破し、鉄骨で井桁(いげた)を組み、その上に、まだ生きている実験途中の、手足を切断されたり、内臓を取り出されたり……、これ以上もう言いませんが、まだ生きている捕虜たちを積んで石油をかけ、火を放ち、捕虜にどんな実験をしたかを徹底的に隠したのです。しかも石井部隊長始め、幹部らはいち早く日本に帰り、戦後、国立大の教授や学長になったり、製薬会社の幹部に着いたのです。

  他の記録も付け加えて申しましたが、許し難いおぞましい記録です。それが今、新たに発掘されている。戦争とはこうなのです。戦争のおぞましさ。戦争は絶対してはならない。平和憲法を変えてはならないという思いにさせられます。

  「圧迫されている人を自由にし」とは、弾圧され、打ちひしがれ、おぞましくも粉々にされた者を指すと申しました。彼らを自由にし、解放し、人間として正しく取り扱い、即ち福音を告げ、「主の恵みの年を告げるため」に、イエスは来られたのです。そしてこのイエスに従い、イエスの意志を引き継ぐ弟子たちを生み出されたのです。

  イエスは、歴史の中で苦しむ人、悩む人に福音を告げ知らせる為に、油を注がれたのです。彼らの鬱積し、たまった悲しみと人生への怒りを取り除くため、囚われている人を魔の手から解き放ち、解放するためです。弾圧されている人を自由にするためです。自由にして、ここに主の恵みの年が来たと告げるためです。この世の罪からの解放と救済と癒しという、主なる神による新しい時代の到来を告げる為に来られたという事です。

  イザヤの預言はここに成就し、今や新しい時代が到来した。今や、悔い改めて主なる神のご支配に服すべきだと語り始められたのです。

  これが、イエスが神から遣わされた使命の核心部分だというのです。この宣教のために私は神の聖なる聖霊を注がれ、油を注がれたと語られたのです。


       (完)

                                         2018年2月4日



                                         板橋大山教会  上垣勝



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