君を照らす光は昇る


  フォークスヘッドの郵便配達夫のお兄さん。イギリス人特有の人なつっかしさでニコッとしました。
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                                         君を照らす光は昇る (下)
                                         イザヤ60章1-3節



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  今日はあちこちに飛びますが、私は普段あまり眠れませんが、レビナスという人の文章とその解説を読んで、不眠症で眠れない人のことを考えさせられました。

  眠れない。眠ろうとしても眠れず、眠ろうとすればする程、眠れない。私はこういう自分をよく経験するので、隣のベッドですやすや寝ているご婦人の安らかな寝顔を見て、自分は「眠る技術」を忘れたのでないか。「眠り方」が分からなくなった情けない人間でないかと思ったりします。

  しかしこの哲学者は、本来「眠り方」などはないと言います。眠る人は「眠り方がうまくて」眠るのでなく、コトンと眠りに落ちるのが眠りだというのです。子どもはまさにそうでしょう。確かに眠い時は、コトンと寝ています。力が抜けて眠りに落ちる。だから力を抜けば眠れるかと言うと眠れない。どう力を抜けばいいのか、こうでないか、ああでないかと布団の中で私は研究しています。すると一段と頭の一部が冴えて来ます。

  眠れない人は、眠り方を忘れたのでなく、反対に、「何かが過剰」なのだと彼は言うのです。即ち、自分の力で何とか眠りの道を切り拓こうとし、自分の運命を何とかこじ開けたい。だが、それができない嘆きが不眠症だというのです。自力で運命を切り拓こうとするが切り拓けない焦りです。だいたい、禅宗や座禅に行く人は不眠症の人が多いかも知れません。自力によって悟ろうとする訳ですから。

  反対に、不眠症でなく、コトンと眠れる人は、真宗とかキリストの救いに入り易いと言っていいでしょう。なぜなら、弥陀の手とかキリストの手に委ねればいいのですから、それは毎晩その人が眠りで経験していることです。

  しかし、不眠症の人でも、自力では眠れない自分を救う方があるのを知ると救われるでしょう。キリストの救いは、救われざる者の救いだからです。救われる者の救いだけでなく、深刻な救われざる者の救いです。救われない事が深刻になっている者の救いですから、眠れぬ者の救いとも言うのがキリストの救いだと言っていいかも知れません。しかもイエスは眠れる人も眠れぬ人も救って下さるのです。

  今、何を言いたいかと言いますと、不眠はそれ程深刻に考えなくていいという事です。不眠症でも、翌日、生きれれば十分です。前の晩の短い睡眠、あるいは一睡も出来なくても、翌日一日が持てばいいわけです。何なら短い昼寝をして夜まで起きていることが出来れば、不眠症を悩むのは不要で、不眠症にこだわる必要はないという事です。

  そして同時に、救われない者の救い。そのような救いをキリストは用意するためにこの世においで下さったという事です。どんなに闇が深く、暗黒で包まれても、主があなたの上に輝き出て、救いを与えて下さるというのですから。

  最後に今日の聖書に、「国々はあなたを照らす光に向かい、王たちは、射し出でるその輝きに向かって歩む」とありました。王たちです。「王たちが射し出でる輝きに向かって歩む」のです。マタイ2章に東方の学者たちが登場します。占星術の学者とありますが、前の訳では博士たちでした。しかし別の解釈では、彼らは3人の王たちです。もし彼らが王たちなら、このイザヤ書60章3節は、光なる方の輝きに向かって歩む王たちのことを預言したのです。

  彼らは、白人、黒人、黄色人の人類を代表する王たちとして、遥々、遠い国から旅して、私たち人類を照らす光、その輝きに向かって歩んで来たのです。そして額づいて、持ち来たった宝物を幼子の前に捧げた。礼拝した。このお方は全人類に礼拝を受けるに相応しい方だということを証したのです。

  この事は、私たちの人生の旅を示唆しています。今年のクリスマスは、私たちもこのお方の元に旅する時でありたいと思います。そして、私たちも人類の救いのために来られたお方を、世に証しして行きたいと思います。

        (完)

                                         2017年11月19日




                                         板橋大山教会  上垣勝



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