希望への脱出の道


                やっとヒルトップ村が見え胸を撫でおろしました。
    これは後で思った感想で、この時は別の村の可能性もあり近づくまでは気がゆるせませんでした。
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                                           君が耐え得るように (下)
                                           Ⅰコリント10章1-13節



                               (3)
  「神は真実な方です」とありました。神は誰もが信頼できる方。心から委ねていいお方だと言う事です。力以上の試練に遭わせることは決してない。神は冷酷であったり、無慈悲な方ではない。愛の方である。愛のみの方であると言う事です。それを100%信じ切ればいいのです。

  試練とあるのは、私たちを圧倒する力を指します。もうダメだと思う程の過酷な力です。そう思えることが何度かあった方がおられるかも知れません。なかった方は幸運だったと思います。神に感謝しておられるでしょうか。

  だが圧倒する試練にあう人にも、それに耐えられるように、「逃れる道をも備えていてくださる。」「逃れる」とは、何かに逃避する意味ではありません。何か事があるとすぐ逃げる人がありますが、逃げることでなく、脱出する道、出口へと避難する道です。エクバシンと言うギリシャ語は、敵に囲まれた時、突然安全な細い逃げ道を発見すると言う意味をもっています。誰も見つけられない、神だけが備えて下さる細い山道の勝利へ向かう抜け道です。

  Aさんは、そのような勝利に向かう脱出の道を神が備えて下さったと思われたので、「私のために、ピッタリのお言葉です」と言われたのでしょう。「聖霊によらなければ、誰もイエスを主と告白できない」とこの手紙の後の方にありますが、「神が道を備えて下さった」という思いは聖霊の働きです。聖霊の働きなしには、誰も神の神秘な働きを神の働きと洞察することは出来ないからです。

  ただ、この言葉は、Aさんにだけ当てはまるのではありません。ここが重要です。神を信じる者、全てに当てはまります。備えるのは私や誰か人間でなく、神が私たちに備えて下さるのです。12、3節を見て下さい。主語は誰か人間でなく神なのです。

  アブラハムのそば女にハガルと言う黒人女性がいました。子どもができない妻のサラが、夫に、自分の下女との間でぜひ子どもを作って下さいと勧め、ハガルから生まれたのがイシマエルでした。苦し紛れにしたのですが、その後でサラからイサクが生まれます。

  所が、お兄ちゃんのイシマエルは赤ちゃんのイサクが可愛いので、可愛さの余り、からかって遊んでいたのです。それを見たサラが怒り出し、夫に、「あの女とあの子を追い出して下さい」と迫って、アブラハムを非常に苦しめたと書かれています。愛する妻だとは言え、妬みに駆られていたからです。

  翌日、母子2人は飲み水と少しのパンを与えられて炎天下の砂漠に追放されました。小さな難民です。2人はべエル・シェバの荒れ野をさ迷い、遂に革袋の水が尽きると、悲しみの余りハガルは子どもを木陰に寝かせ、「私は子どもが死ぬのを見るのが忍びない」と少し離れた所に座って、顔を覆って泣き始めたのです。すると子どもも、お母さんの泣き声に合わせて泣き出したのです。

  母と子が泣いていた。すると天から声があって、「どうしたのか、恐れることはない。神はあそこにいる子どもの泣き声を聞かれた。私は、必ずあの子を大きな国民にする」と言われた。また神は彼女の目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけたのです。神はこの母と子に、共におられたと書かれています。

  出口に向かって逃れる道を、万事休す中でも神がお与え下さる。神は、「神を愛する者と共におられ、子どもの泣き声を聞かれる」方です。また目を開かれ、「水のある井戸を見つけさせられる」のです。アブラハムの正統な子孫だけが祝福されるのでなく、はしためとその子どもの道をも、希望に向かう出口を授けて、試練と共に耐えられるよう脱出の道を備えて下さるのです。

  私たちは信頼していいのです。神を信頼して進んでいい。信じないなら悩みの淵に置かれたままでしょう。しかし、信じるならその苦労は決して無駄になることはないでしょう。

        (完)


                                         2017年10月22日




                                         板橋大山教会  上垣勝



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