存在の源であるひとりの神


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                                          ひとりの神 (下)
                                          Ⅰコリント8章1-6節



                               (2)
  次に、「自分は何か知っていると思う人がいたら、その人は、知らねばならぬことをまだ知らないのです。しかし、神を愛する人がいれば、その人は神に知られているのです」と語りました。

  「自分は何かを知っている。」自分という人間はこんな事まで知っているのだ!実は、そこに傲慢が入り込んでいると彼は指摘して、その人は、「まだ知らなければならないことを知っていない」と語ります。彼は、知らなければならないあれこれの事を言っているのではありません。そうではなく、本質的なことがまだ分かっていないと言いたいのです。

  自分は神を知っている、だから神を信じる、愛すると言う人は、そこに傲慢が見え隠れします。しかも彼が知る神は、彼の器で受け留めた神に過ぎません。それは彼の器に盛られた小さい神です。しかし、神に知られているのを知る人、神に愛されている喜びを持つ人は、自分を超えた大きな神を知っているでしょう。とうてい私は神を知ることは出来ないと、神の前に謙るでしょう。

  神に知られている。神に愛されている。そこから活き活きした生きる喜びと、喜びの応答が生まれます。平和な心を持った行動が生まれるでしょう。

  彼自身は、「我々は皆、知識を持っている」と自慢げに語る人以上に神を知っていました。知りつつ謙遜でした。ですから、「世の中に偶像の神などはなく、また、唯一の神以外にいかなる神もいないことを、わたしたちは知っています」と語る通りです。

  彼は、全世界、全宇宙に偶像の神など実在しない。それは人間が造った神であり、偽りの神、人の願いや願望が造り上げたものだと語ります。そして、唯ひとりの神。キリストがお示しになった唯ひとりの神以外に、いかなる神も存在しないと語ったのです。

  ただこの知識も、もし傲慢に働き、兄弟を躓かせることになるなら、それは神に与えられた真の知識ではないでしょう。何のための知識か。それは仕えるための知識、愛するための知識でなければ空しいと、やがて13章で語ります。

  また5節以下で、「現に多くの神々、多くの主がいると思われているように、たとえ天や地に神々と呼ばれるものがいても、わたしたちにとっては、唯一の神、父である神がおられ、万物はこの神から出、わたしたちはこの神へ帰って行くのです」と語ります。

  多くの神が天地にいるように言われ、色々の名でよばれても、いずれも真の神ではありません。私たちは、キリストが啓示された神、唯一の、まことの神だけが存在される事を知っている。万物はこの神から出、この神によって造られ、この神の被造物であり、私たちは死して再び神のもとに帰ります。だが私たちは誰も神でなく、神になる訳でなく、私たちはみなこのお方の被造物に過ぎません。

  しかし、私たちの存在はこのお方を源とするゆえに、このお方を知る時に、真の平和を与えられ、心の安定を得るでしょう。イエス・キリストは、この父なるお方を生涯指し示して下さいました。このお方を知って、誇るためでなく、神を賛美し、キリストに従って愛に生きるためです。

  またキリストを通して父なるひとりの神を知れば知る程、天地に溢れる神の恵みに気付き、神の摂理に与り、今のこの時を恵みの時として生き今日を救いの日として生きることができるのです。神から頂いたこの恵みの日々を無駄にすることはないでしょう。そのようなひとりの神を知ってほしい。万物の本質こそ知ってほしい。

  失われたもの、過ぎたものに心留めず、この万物の本質であるひとりの神を知って、明日に向かって、今日を希望を持って生きましょう。すると、外なる人は日々衰えても、内なる人はキリストの恵みで日々新たにされます。今の一時の艱難は、やがて現わされる永遠の栄光に比べると言うに足らないのです。祈りましょう。

       (完)

                                         2017年9月24日


                                         板橋大山教会  上垣勝



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