神を待つという奉仕


                   アドベントが始まりました。リヨン美術館で(18)   右端クリックで拡大
                               ・



                                                全世界に伝えられる福音 (下)
                                                ルカ24章44-53節


                              (2)
  それから復活の主が語られたのは、「罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる」ということです。

  ルカ福音書は、キリストの福音である「罪の赦しの悔い改め」はユダヤ民族だけでなく、あらゆる国の人々に宣べ伝えられると、世界的視野を持って語っています。民族主義的宗教でなく万民に妥当する普遍的宗教です。これが復活のイエスのご意志だというのです。また、「エルサレムから始めて、 あなたがたはこれらのことの証人となる」とも語られました。

  イエスの宣教の使命は、エルサレムから始まりあらゆる人々に、あまねく全ての人たちに伝えられなければならない。あなた方はそのために選ばれ、そのための証人であるということです。ある方が、「どうしてバザーをするんですか」、「どうして『おおやま便り』を1万枚も配布するんですか」と不思議そうに聞かれました。その方が行っている教会では同じでなくても、似たことはしないのでしょうか。こちらが驚きました。イエスは伝えられなければならないから、私たちはしています。時が良くても悪くても宣べ伝えられなければならない。そうしたくてたまらないのです。教会内で留まっていてはならない。機会があればあらゆる人に届けたい。イエスは弟子たちを世界に送り出されたのです。それは当時も今も変わりありません。

  イエスはこう言われて、私は、「父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい」と命じられたとありました。「都に留まる」とは、元は、座る、着席する、腰を下ろす、腰を据えて滞在するなどの意味です。また、「父が約束されたもの」とか、「高い所からの力」とは、神の霊、神の力である聖霊の事です。

  あらゆる国に宣教が開始される為には、先ず時の満ちるまでエルサレムに留まらなければならない。聖霊降臨、ペンテコステによって上から力を受ける時を待たなければならないのです。時が満ちず、神の力を頂いていないのに自分の力を頼んで出発してはならない。早やってはならないのです。

  エルサレムでの待機です。準備です。準備もなく気持が早やって行けば失敗が待っています。「神の為に働く時も奉仕ですが、神を待つ時間も神への奉仕なのです。」静かに神を待つという奉仕は、活発な活動と共に欠いてはならない奉仕です。

  こうして、「イエスは、そこから彼らをベタニアの辺りまで連れて行き、手を上げて祝福され、祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。」

  「祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた」とあります。使徒言行録1章にも、この「聖霊による洗礼」、「地の果てまでキリストの証人となること」などと共に、天に上げられるほぼ同じことが記されています。高い所に挙げられること。イエスの高挙と言われるものです。イエスが天に上ったのではありません。神によって天に上げられたのです。その全生涯が神に肯定され、義とされ、ヨシとされ、祝福され、人類の罪の贖いの小羊として受け入れられた為です。

  イエスは天に上げられました。そのことによってイエスは、人間の本当の故郷はそこにあることを示されたのです。神のもとです。そこは復活のイエスご自身の故郷であり、そこへと私たちを招き入れて下さる場所です。そこに神の平和、キリストの平和、永遠の平和があります。

  こうして、「彼らはイエスを伏し拝んだ後、大喜びでエルサレムに帰り、絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた」のです。

  ルカ福音書の最初の方で、羊飼いたちが出て来ました。今日はアドベント第1主日ですが、クリスマスの羊飼いたちです。社会の底辺にいた身分の低い貧しい彼らに、御子イエスの誕生が誰よりも先に知らされ、彼らは御子の誕生をその目で確かめると、神を崇め、讃美し、喜びに溢れて帰って行ったとありました。ルカ福音書最後の言葉はクリスマスの出来事に呼応しています。羊飼いたちに起こった出来事は、今や聖霊を通してここに弟子たちの上に起こり、やがては同じルカが書いた使徒言行録において、地中海世界に広がる教会の喜び、讃美、証しとなって全世界に発展して行くことになります。福音は全世界に伝えられて行くのです。

         (完)
 
                                            2016年11月27日



                                            板橋大山教会 上垣 勝




  ホームページは、 http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/

  教会への道順は http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/img/ItabashiOyamaChurchMap.gif



                               ・