誰も否定できない体験でした
旧市街にはいものの看板屋さんがありました
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希望の泉が湧いている （中）
ルカ２４章１－１２節
（２）
何事があったのかと、彼女らはつかつかと駆け寄ったでしょう。そこにはあり得ない事が起こっていたのです。墓には遺体が、死があると思っていたが、やがて知るのは神がそこで驚くべき事をなさっていたことです。彼らは恐怖に凍りついたでしょう。
イエスの遺体を闇に閉じ込め、婦人たちと隔てていた巨大な墓石、沈黙と不名誉の中にイエスを閉じ込めた重い墓石が取り除けられ、神の使いが彼らを待っていたのです。こうありました。「中に入っても、主イエスの遺体が見当たらなかった。そのため途方に暮れていると、輝く衣を着た二人の人がそばに現れた。婦人たちが恐れて地に顔を伏せると、二人は言った。『なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか。あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい。人の子は必ず、罪人の手に渡され、十字架につけられ、三日目に復活することになっている、と言われたではないか。』」
呆然と佇んでいると、目が覚めるほど白く輝く衣を着た２人が側に現われたので、婦人らは恐れの余り凍りつき、棒立ちになったのです。衝撃は余りにも凄かったのでしょう。「恐れて地に顔を伏せると」とありますが、腰を抜かさんばかり恐怖に駆られたのです。
しかし２人神のみ使いの方も驚いたでしょう。「どうして生きておられる方を死者の中に探しているのですか。あの方はここにはおられませんよ。既に甦られたのです。ガリラヤにおられた頃にお話しになったことを、よく思い出して下さい。人の子は必ず、罪人の手に渡され、十字架につけられ、三日目に復活することになっている。…」婦人たちがすっかり忘れてしまっていることに、彼らこそ驚いた口ぶりです。
彼らは、婦人たちのちぐはぐな行動に驚きました。希望の源である方を死者の中に探し求めていたからです。山にクジラを探すようなものです。絶望の中に希望の主を探していたからです。いや、すっかり絶望していたのです。だが私たちもしばしば絶望的な状況を前に、そこに留まり、投げやりになり、そこでウロウロすることが多いのではないでしょうか。行き止まりなのに、いつまでもその前に留まっている。そして諦めの生活を始めている。
しかし神の使いが婦人たちに語ったのは、いかなる人の心にも思い浮かばない事です。悪は確かに勝利の歓声を挙げました。だがそれ以上力を奮うことは出来ないという事です。イエスは悪との対決を避けず、その命を最後までお与えになり、遂に勝利されたという事です。死もまた墓の中に彼を留めることが出来ませんでした。死よりも強い、命であり愛の方です。恐れず生きよという事です。彼は甦られた。もはや眠っておられない。沈黙させられたが滅ぼされない。彼は今も生きておられるという事です。
婦人たちは力強い希望の溢れる言葉に我に帰り、「イエスの言葉を思い出した」のです。それで急いで弟子たちに知らせました。３人の婦人たちだけでなく他の婦人たちも弟子たちに一部始終を語ったのです。
こうしてこの婦人らは最初のイエスの復活の証人になったのです。しかし他の弟子たちは、余りにも「たわ言のように思われたので、婦人たちを信じなかった」とあります。軽くいなされたのです。それほど復活は信じ難いものだったと言うことです。だがいかにたわ言のように取り扱われようと、婦人たちが墓で経験したことは誰も否定できず、彼らから取り去ることが出来ない体験した事実です。こうしてイエスの復活の最初の証人となります。
ただペトロは耳にした不思議な報告に、まさかと思いながら急いで立ち上がり墓を目指して走ったのです。そして「身をかがめて中をのぞくと、亜麻布しかなかったので、この出来事に驚きながら家に帰った」のでした。と言っても、彼もこの時は、まだイエスの復活は信じ難いことであり、これが爆発する喜びになるまでには至っていませんでした。
（つづく）
２０１６年９月２５日
板橋大山教会 上垣 勝
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