自然も「汝」と見る


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                                                 古い自分を後にして (中)
                                                 コロサイ3章5-12節
 

                              (2)
  今日の5節で、「地上的なもの、すなわち、みだらな行い、不潔な行い、情欲、悪い欲望、および貪欲を捨て去りなさい」とありました。古い自分を捨て去るのは、そこには命溢れる希望や将来性はないからです。「みだらな行い、不潔な行い、情欲…」などに、将来性や希望があふれているでしょうか。ありません。それは真の命と矛盾し相容れないからです。

  「みだらな行い、不潔な行い、情欲…」など、そこにあるのは、相手を性欲を満たす対象としてしか見ない。人格や心を持つ人間としてではなく、こちらの思いのままになる生物的欲求のはけ口として、お金で買える者として、自分が満足すれば用のない者として見る、貧相な姿です。

  しかし、キリストと共に死んで甦ることによって、あらゆる分野で新しい行動が生まれます。また異性も同性も人として、一人の人格、「あなた」として汝として接することが生まれます。

  7節に「あなた方も、以前このようなことの中にいたのです」とありました。これは、彼らコロサイ教会の男たちの過去はどんなものであったかを窺わせる大事な一節です。そういう彼らもキリストによって救い出されたのです。

  余談ですが、今日、キリスト教は、人間だけを汝(なんじ)として見るのでなく、動物や植物、また鉱物までも「汝」として見る所まで来ています。自然もまた私たち人間の汝としてあります。自然破壊、環境汚染、薬物被害などがあちこちで進み、私は本当に驚きますが――ここに熱帯魚を飼っていたり熱帯魚が好きな方もいらっしゃるかも知れませんが――、高額な熱帯魚はたった一匹で4千万円とかします。家一軒建ちますね。そのことは驚きませんが、ある種の熱帯魚は捕獲が難しく、海底深く水中でシアン化化合物を吹きかけて一瞬意識を失わせて捕獲します。所が、その薬品が周辺のサンゴを死滅させるのです。そんな薬品を、現代人は海底にまで持ち込んでお金を得ているのです。

  熱帯魚を見ていると癒されますが、癒されていい気になっている背後で自然破壊の代償があったりする。心の癒しを満足させるものを金で買い、私たちの手に届けられる。だが彼らも神に造られた貴重な汝として接しなければならないはずです。

  逸れましたが、キリストが私たち一人一人に、汝として接して下さったゆえに、私たちは、「みだらな行い、不潔な行い、情欲、悪い欲望、および貪欲」を捨て去れと厳命されています。また、貪欲は偶像礼拝にほかならないと言われ、「これらのことのゆえに、神の怒りは不従順な者たちに下ります」とあります。どういう形で、いつ下るか分かりませんが、み心に逆らう者たちへの鉄槌は必ず廻り廻って厳しく下るでしょう。

  5節で言われたものは、とりわけ男性たちに関わるものですが、8節にあるのは、比較的に女性に多く現われる問題でしょう。

  「今は、そのすべてを、すなわち、怒り、憤り、悪意、そしり、口から出る恥ずべき言葉を捨てなさい。互いにうそをついてはなりません」とありました。女性が「みだらな行い、不潔な行い、情欲、悪い欲望」、これを好んでするというのは少ないかも知れません。だが「そしり、口から出る恥ずべき言葉」とある蔭口や告げ口、延々繰り返す愚痴。男性だっていますが、無駄なおしゃべりや数人でのうわさ話。そして嘘や作り話を混ぜてのその場にいない者を中傷する。そして別の所に行くと先程の者たちへの中傷を行なう。

  ここにも情欲やみだらな行いと共通する、人を大切な汝として見ない、人格として見ない問題がその根に存在しているかも知れません。

            (つづく)

                                            2016年9月4日


                                            板橋大山教会 上垣 勝




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