渇いている君に


リヨン駅前から市電で近いベスト・ウエスタン・ホテルに投宿。さっぱりした宿でローヌ川もすぐそこ。橋を渡れば旧市街です。夕方着いたので急いで店を探し夕朝食を買い込みました。          
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                                                   渇いている君に (上)
                                                   ヨハネ7章37―39節


                              (1)
  今日の聖書は有名な所ですから、信仰の長い方は何度も読みまたお聞きでしょうが、新鮮な聞き方をして下さればいいと思います。

  「祭りが最も盛大に祝われる終わりの日に」とあります。過越しの祭りはイスラエルの3大祭りの1つです。この祭りの最終日は最も重要な日で、今も昔も世界には共通点が幾つもありますが、先祖の代に難民や強制労働などで外国に散らされた人たちが巡礼で戻って来て最大に盛り上がります。次は1年後ですから、この日とばかりに力の限り祝い、歌い、踊ったでしょう。

  日本なら、神輿(みこし)がお宮入りする日が最大の日ですが、宮入りの順番を巡ってケンカが起こることがあり、地方によっては今も、部外者は怖くて中々近寄れません。今はケンカが少なく女性も神輿を担ぎますが、祭りは町人が年1回、鬱憤を晴らせるガス抜きが許された日で、昔は相当に荒れました。また今と違い、日本でも最終日に一番盛り上がりこの日は更に荒れたのです。

  過越しの祭りは、出エジプトの前夜、神の使いがイスラエルの家々を過ぎ越されたのを思い出して喜び、自由と解放を祝って祭りが最高に盛り上がるのです。その祭りがクライマックスに達した時に、イエスは立ち上がって、「渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい。 わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる」と、大声で群衆に呼びかけられたのです。

  祭りが最大限に盛り上がったのですから、本来なら誰もが喜びを持って渇く人はいないのです。だが、現実には祭りの傍らで渇く人があり、苦しむ人がある。儀式は盛大に執り行われている。だが形骸化して元のスピリットが失われ、悩みを抱え癒されていない人が多くいるのです。イエスは特にその人たちに呼び掛けられたのでしょう。

  まるでリオのオリンピックです。現代の世界最大のスポーツの祭典ですが(1日にどれ程の競技種目があるとお思いですか。午前7時半から開始し、夜11時59分に始まる最終競技まで、417の競技がなされます!)、会場を見渡せるキリスト像が立つ山の斜面には巨大なスラムが広がります。国民は悩み苦しみ、町では今もオリンピック反対のデモがあり、スリが横行し、外国選手が殴られたり、観光客への暴力が多発していると、外国の新聞は今もオリンピックの負の部分を伝えています。大統領が汚職でオリンピックに出席できなかった程の現実を抱えているのです。

  リオの町と同じではありませんが、エルサレム神殿の足元には多くの渇きを覚える人たちがいたのです。

        (つづき)

                                           2016年8月14日


                                           板橋大山教会 上垣 勝




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