名曲も詰まらないと思える時…


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                        ピカソ(2)・ルーブル博物館


                                                    わが慰めの秘密 (上)
                                                    イザヤ55章1-9節


                              (序)
  マタイ11章28節に、「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」とあります。休ませるとあるのは、竪琴などの弦を緩めてゆったりさせることです。 イエスは私たちに、重荷を負って苦労し、疲れている者は私のところに来て、身も心もゆったり、休ませなさいと言われるのです。セカセカ、コセコセ動きまわって、しかも何もしていない人生を送ってしまうのでなく、私の所に来てゆったりと休み、それから元気を取り戻して与えられた日々の仕事にあたりなさいと言われるのです。

  さて今日はこのみ言葉も関係しますが、主にイザヤ書から学びます。イザヤ書40章から55章までは、第2イザヤと言われる部分です。39章までとは明らかに時代背景が違い、イスラエルへの厳しい告発でなく、反対に豊かな慰め、苦難の僕と言われる僕によるこれまでイスラエルの歴史に全くなかった、人類の歴史にもない罪の贖い、驚くべき罪の赦しの預言が語られます。これらは直接的にはバビロニア捕囚からの解放の預言ですが、約500年後に現われるイエス・キリストに関わる預言だと言われる個所でもあります。

  55章もその流れにあります。神の驚くべき恵み、人知では把握できない神の思いが、いわば稀(まれ)にしか姿を現わさない神秘な山エベレストの様に、人の思いを遥かに超える神の思いが語られています。

                              (1)
  それは1節で、「渇きを覚えている者は皆、水のところに来るがよい。銀を持たない者も来るがよい。穀物を求めて、食べよ。来て、銀を払うことなく穀物を求め、価を払うことなく、ぶどう酒と乳を得よ」とある所からも窺えます。神の無償の愛。金銀、価なしに与えられる神の恵みです。

  そして6節に、「主を尋ね求めよ、見いだしうるときに。呼び求めよ、近くにいますうちに」とありました。

  信仰の実感が無くなることがあります。いくら努力しても空回りして、キリストも信仰も遠い世界のように思えてしまい、主を見出せない時です。だからこそ、主が近く、実感をもって分かる内に、主を熱心に尋ね求めて、主との出会いが一段と深まるように生きなさいと勧めるのです。主に対する感謝が湧き、信頼の喜びを感じる時に、しっかりと尋ね求めなさい。なぜならあれほど喜び、主への感謝の思いを抱いたのに、いつの間にかそれらが霧のように消え去ることがあるからです。

  信仰の食いだめはできません。しかし恵みの数々を蓄えておく。特にみ言葉に養われて貯めておく。聖書を読んでみ言葉を蓄えておくのです。それが試練の時の備えとなります。主が近く感じられる時は、中々巡り来ないことがあるからです。これらのことは信仰者の多くが経験します。しかし見えないからと言って、富士山がなくなった訳ではありません。単に雲がかかっているだけで、自分の目に恵みが見えなくなっただけです。心を打つ名曲でも時々、この曲は詰まんないと思うことがありませんか。

  また7節は、「神に逆らう者はその道を離れ、悪を行う者はそのたくらみを捨てよ。主に立ち帰るならば、主は憐れんでくださる。わたしたちの神に立ち帰るならば、豊かに赦してくださる」とありました。

  立ち帰り。悔い改めの勧めです。悪をたくらむ者は悔い改め、考えを改めよ。悪を離れて主に立ち帰るなら、主は豊かに、直ちに赦して下さる。神はあなたが立ち戻って来るのを心待ちにしておられるからだと、繰り返し語ります。

  そして今日の聖書のメッセージの中心に至って、8節、「わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり、わたしの道はあなたたちの道と異なると、主は言われる。天が地を高く超えているように、わたしの道は、あなたたちの道を、わたしの思いは、あなたたちの思いを、高く超えている 」と、第2イザヤは語るのです。

  「天が地を高く超えているように」、私の道と思いは、「あなたたちの思いを高く超えている。」神と人間との永遠の質的な隔たり、神と人間の質的な差異が語られます。神と人間の考え、論理、また進む道がどう異なるのか、どこまで異なるのかです。

(つづく)

                                           2016年5月22日



                                           板橋大山教会 上垣 勝




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