50代まで自分がほとほと嫌でした


                 小さな庭でいつもより1カ月早くミモザが咲きました       右端クリックで拡大
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                                               水甕(がめ)を持った男 (上)
                                               ルカ22章7-13節



                              (序)
  今日の聖書の最初に、「過越の小羊を屠(ほふ)るべき除酵祭の日が来た」とありました。1節には、「過越祭と言われている除酵祭が近づいていた」とありましたから、刻一刻、除酵祭が近づき、遂にその日が来たと告げています。どうして過越祭や除酵祭がそんなに重要なのでしょう。

  「過越の小羊を屠るべき」とありますが、元の言葉では「過越の小羊を屠らなければならない除酵祭の日」とか、屠るのが義務である除酵祭の日と訳せます。この日は必ず小羊が殺されなければならなかったのです。何故でしょう。

  その理由は出エジプト記12章に出ています。そこに過越祭と除酵祭の由来がございます。除酵祭は少し前に話しましたので、今日は過越祭について申しますと、モーセに率いられる60万の民はエジプトに在った時、奴隷として過酷な重労働を強いられ呻き苦しみました。それはもう大変な苦役を課されたのです。モーセ出エジプトのために、エジプト王ファラオと実にしぶとい交渉を何度も致します。出国は不可能に見えますが、それでも諦めずに交渉します。そのしぶとさから多くのことを今日も学ぶことが出来るでしょう。

  やがてエジプトを出ることが許されますが、その前夜、家毎に小羊を殺し、その血を入口の2本の柱と鴨居にヒソプを束ねた刷毛で塗るのですが、その血が神の使いへの目印になって家々を使いが過越し、塗られていない全てのエジプト人の家々に入って、人であれ家畜であれ全ての初子(ういご)が撃ち殺されるのです。そのためエジプト中に大いなる悲しみが起こって、彼らが悲しんでいる間にやっと出エジプトを果たせたという、今から約3,200年前にあった故事に過越祭は由来します。

  エジプトでのこの出来事を記念して、主が私たちの家を過越された、小羊の血が目印となって初子の死を免れたと、過越の小羊を屠(ほふ)って、屠るとは殺すことですが、小羊を殺して祝うことになったのです。そして毎年、この時期には家々で小羊が屠られて、エジプトからの自由を、奴隷状態からの解放を喜び祝ったのです。

                              (1)
  さて、その日になったので、「イエスはペトロとヨハネとを使いに出そうとして、『行って過越の食事ができるように準備しなさい』と言われた。…『どこに用意いたしましょうか』と言うと…… 」

  今日の所には「準備」とか「用意」という言葉が次々出て来ます。イエスエルサレム入場の時も、2人の弟子をベタニアに遣わして、まだ誰も乗ったことのない子ロバを「主がお入り用なのです」と持ち主に言わせて、借りて来させられたことがありました。あの時も予め準備されたのでしょう。ここでもそれに似たことが出て来る訳で、イエスというお方の準備の良さに感心させられます。

  私は少年時代、夏休みの宿題はいつも最初の数日と、最後の1週間ぐらいでやっと仕上げるという準備の悪い怠け者でした。算数、国語などはどうにか仕上げても、気温とか天気が分からず困りました。1か月の新聞を探しまくった記憶もあります。

  今だから言えますが、説教準備も50代までは、週末になって取りかかる人間でした。土曜日に徹夜で説教を作り、1時間ほど寝て礼拝で話すこともしばしばでした。酷い時は朝の5時頃に終えて目を通し、これはダメだと思ってすっかり新しく書き直すこともしました。だいたい準備が遅い人間で、分かっていても準備が出来ない。50代まで、ですから人生の大半が、自分がほとほと嫌になって来た人間です。

  この準備というギリシャ語は、元々覚悟が出来ていることや、手筈が整っている事を指します。私は覚悟が出来ていなかったのでしょう。覚悟がないから、グズグズ後回ししてしまったのです。

  今回改めてイエス様は実に準備が良い方だと思います。「どこに用意いたしましょうか」と聞かれて、「都に入ると、水がめを運んでいる男に出会う。その人が入る家までついて行き、家の主人にはこう言いなさい。…」

  弟子たちが休んでいる間に、イエスはコツコツ手筈を整えておられたのです。水甕(みずがめ)を運んでいる男のことまで打ち合わせ、その男が入って行く家の主人に弟子たちがどう言うかまで、主人と打ち合わせておられたのです。

     (つづく)

                                    2016年1月31日



                                    板橋大山教会 上垣 勝



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