ひと言言ってやって下さい


        パリのカタコンブ(地下墓地)は迷路のようでした。公開されているのは僅か3キロほど。
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                                               喜びと共に新年を始める (上)
                                               ルカ10章38‐42節
       

                              (序)
  新年、明けましておめでとうございます。今日は、「喜びと共に新年を始める」という題です。悲しみや苦しみと共にでも、悲観的にでもなく、喜びと共に希望を持って新しい年を始めるのです。

  希望を持てない。悲しみが一杯だという方がおられるかも知れません。だが、「求めよ、さらば与えられん」とイエスは言われました。ですから喜びと共に始めることを主に求めましょう。希望を持って求めていきましょう。

                              (1)
  さて、先程の所には、「一行が歩いて行くうち、イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女が、イエスを家に迎え入れた」とありました。村とあるのはガリラヤの草深い寒村でしょう。マルタは10数人の男たちを家に迎え入れてもてなしたのですから、積極的な女性です。

  皆さんはこんな勇気をお持ちでしょうか。同姓であってもこれは中々出来ないことです。家庭集会を開いて下さる方がありますが、いつも7、8人が集まります。5、6人でも家に招くというのは心が閉じていては出来ません。オープンでなければ決して出来ません。オープンになると何か新しいことが始まります。マルタは進んで心からイエスの一行をもてなそうと招き入れたのです。

  「求めよ、さらば与えられん。」求めるには勇気がいります。彼女はひと際大胆であったのは、イエス様から直接話を聞きたかったからに違いありません。

  ところが接待のことで忙しく、中々イエスの傍で静かに聞けなかったのです。忙しくする内に彼女の妹、「マリアは主の足もとに座って、その話に聞き入っていた」というような事になったのです。妹のマリアが、ちゃっかり自分の代わりにイエスの傍に坐って一心に聞いている。まるでトンビに油揚げをさらわれたような思いになったのです。もう一度言いますが、マルタは忙しく動き回っている。だが妹は静かに身動き一つせず、じっとイエスの話に食い入って聞いていたのです。腹が立ったでしょうね。

  彼女は、「色々のもてなしのためせわしく立ち働いていた」とありますが、取り乱してウロウロする意味もあります。心があちこち分散して落ち着かない。ある英訳は、「頭がおかしくなっていた」とさえ訳しています。

  取り乱しているのは、自分がこんなに忙しくしているのに妹は手伝いに来ようとしない。イエス様の話しを聞きたいと自分が招いたのに、妹がそれを横取りしている。そのことをグダグダ思い詰めていると、怒りが生まれ、腹立たしくなり、遂に許せなくなったのです。

  それでイエスの側に行って、「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください。」感情を爆発させてキツク言ってしまったのです。

  「頭がおかしくなっていた」と訳している英訳は事態をよく捉えています。人間は思い詰めると頭がおかしくなります。怒りが沸騰しますとありもしないことを色々推測し、客観的でも公平でもなくなります。マルタはその様な姿を代表しています。

  筋が違うのに、イエスに対して、「何ともお思いになりませんか」と咎めるような言い方をし、「手伝ってくれるようにおっしゃってください」と、イエス様にさえ当たったのです。「妹はいつもこうなんだから!」という言葉はありませんが、そういう思いでしょう。

  イエス様にこう言ったのは、「あなたは互いに重荷を負い合いなさい」と言って来られたじゃあありませんか、それなら妹にも、「姉の重荷を一緒に担いなさい」とひと言言ってやって下さいと要求したのでしょう。思い詰めると、確かに人は頭がおかしい状態になります。聖書はここで罪の姿を語っているのかも知れません。罪というのはイエスをも責めうるのです。何に対しても上げ足を取れるのです。

          (つづく)

                                    2016年1月3日




                                    板橋大山教会 上垣 勝



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