腹を決めて明日に備えるだけ


                  大山教会バザーの開店を待つ人たちが右側にもいます     右端クリックで拡大
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                                                  沖に出て漁をしなさい (上)
                                                  ルカ5章4節


                              (1)
  今の今までバザーの準備で体を動かしていましたので、身体の中を血がドクドク流れているのが分かります。暫らく沈黙の時をもって心を静め、それからお話しをいたします。……

  昨日は雨になり、バザーはこの礼拝後から3時半まで致しますので、話しは短く致します。

  今日の個所は本来、ガリラヤの漁師たちの召命の話しで、どうして肉体労働の漁師たちがイエスの弟子になったか興味ある物語ですが、今日は4節を中心に、彼らの召命に至る1コマを取り上げます。

  イエス様がゲネサレト湖、即ちガリラヤ湖の湖畔におられると、群衆が神の言葉を聞こうと押し寄せて来ました。暗い時代にも、人々は将来に希望を持ち、慰めを授けられ、人生の信頼できる支えを求めてやって来たのです。それは今日でも同じだと思います。

  見ると、岸に2そうの舟が舫(もや)いであり、漁師たちは岸で網を洗って、終わり支度をしていました。イエスはペトロの舟に乗り込み、彼に、群衆に話をするので、舟を少し出して欲しいとお頼みになったのです。それで、ペトロは作業を中断して舟を出したようです。

  これは家庭集会に自宅を提供する人に似ています。舟と家は違いますが、ペトロの舟からイエスがお話しになるという事は、彼がイエスの友であり、その教えに傾倒している事を近隣の人々に明らかにすることで、小さなカファルナウムの町ではすぐ話題になるでしょう。だが彼は、人がどう言おうと、自分が信じうる真実な道を行こうとしていると言っていいでしょう。

  このことについて皆さんはいかがでしょう。2千年間のキリスト教会は、頭だけの信仰でなく、奉仕したり、身銭を切る、勇気ある人たちによって担われて来たのです。時間を使ったり、身銭を切って奉仕する。このことの大切さはいくら強調してもし切れませんが、今日は先に進みます。

  ペトロは櫓(ろ)を操りながら、群衆に語るイエスの言葉に耳を傾けていたでしょう。聞きながら、なるほどそうかとか、エッ?そういう事なんだろうかとか。納得もし、時々疑問も持ち、心の内で色々批評もしながら、まだ弟子ではない彼は、突き放して聞いていたでしょう。ところが話し終わるとイエスは、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をして下さい」と言われたのです。

  彼は戸惑った筈です。ですから、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした」と答えたのです。今日はいくら網を打っても絶対取れませんよ。こんな日は、焦っても仕方ありません。腹を決めて、明日に備えるだけです。彼はこう言いたげです。

  一晩中働き続けて徒労に終わり、いつもより疲労を強く感じていたのに、沖に漕ぎ出して漁をしなさいと言われ、ムッとしたとしてもおかしくありません。

  だが、それらを腹に仕舞い込んで、5節で、「しかしお言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えたのです。そして沖に出て網を打った。すると予想外の大漁になった。漁師たちはびっくりしたでしょう。他の舟が応援に来たとありますので、ペトロの舟だけが大漁で、他の舟はそうでなかったのです。彼は沖に漕ぎ出して、ここで網を打ちなさいとイエスから言われて網を打つと、大量に魚が取れたのです。彼はおそるおそるイエスの足元にひれ伏し、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と告白したというのです。

  彼は、イエスが自分を見通しておられたことに気づき、恐れをなしたのです。大漁を通して、恐ろしいばかりのイエスの神の姿に触れたのです。恐れで体の震えが止まらなかったでしょう。「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです。」先程まで、イエスの話しを批評家のような態度で聞いていた自分の罪深さを、イヤという程味わったのです。今日は触れませんが、これが彼の身に新しい出発が起こる原点になって、やがては進んで逆さ十字架に付けられるまで真実な方に従って行きます。

       (つづく)

                                             2015年10月18日



 
                                             板橋大山教会 上垣 勝



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