持ち物によらない信頼関係

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　天使のような人々　（下）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ルカ２０章２７－４０節


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（３）
　　行ったことのない天国について余り想像を逞しくしても、イエスの意図から逸れますので止めますが、次の世で復活する人たちは、「天使に等しい者であり、復活にあずかる者として、神の子だからである」とあることをもう少し考えたいと思います。

　　天使とあるのはギリシャ語でアンゲロスと言います。遣いの者、使者、神から遣わされた伝令の意味です。

　　「天使に等しい者」とは、自分を遣わされる方である神を喜ばすことを第一にし、それが喜びとなって隣人に遣わされて生きる者です。ですから自分を喜ばすこと、自己中心的に生きることを喜ばない者ということで、他者のために生きる事を最高の喜びとする者たちです。

　　天使は時間と空間を自由に飛びまわれる存在でしょうが、自由に他者のために生きることを喜び、そのために時間と労力を惜しまない。むしろ、他者のためにあるのが感謝であり誇りであり生きがいなのです。

　　それに対し、サドカイ人は天使や霊的存在を否定し、つまる所、裕福な生活を追求して自分のためにのみ生きたのです。それがどんなに詰まらない生き方かという事でもあります。

　　最近、女性の世界長者番付１５人というのを見ました。大抵は世界的なスーパーマーケットや女性のコスメ商品、キャンデーなどお菓子類の企業の親や夫の遺産相続で富を為しています。1位の人の資産はどれ程と思いますか。約５兆円です。５兆円というと、１億円、１０億円、１００億円、１０００億円、次が１万億円。それが１兆円ですからその５倍。男性の方はマイクロソフトの有名なビル・ゲイツです。約１０兆円、女性の２倍です。

　　長者番付の男女の上位の人たちには慈善家がいます。女性第３位の人は、夫の遺産を相続し、その他に太陽光発電パネルを生産するファースト・ソーラーという企業に投資していますが、大慈善家です。日本の資産家でこれ程熱心な慈善家がいるのかどうか知りません。

　　先週申しました。しっかり儲ける。しっかり節約する。そしてしっかり神に献げ、社会のために役立てる。そういう人たちです。生きる価値観が日本と相当違います。

　　ただ今、私が申し上げたいのは、地上で１兆円、５兆円持っていようが、また１文無しだろうが、復活した者たちは天国で、天使のように自由で、喜ばしく、全く平等であるということです。１文無しの人が、かつて何兆円も持っていた人の所に天使のように自由に遣わされて、爽やかに楽しく何時間も語り合うこともあり得るでしょう。何億円も持っていた人が１文無しの人を手助けして喜び合うこともあるような世界です。

　　そこにあるのはお金を越えた喜びと感謝です。また持ち物によらない信頼と平和です。裏切りはない。嘲りはない。そして誰の胸にも、生きる喜びと共に希望が輝いているという事です。これが復活する人たちの世界だというのです。

　　「神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神なのだ。すべての人は、神によって生きているからである」と、イエスが言われた通りです。

　　そこには死の冷たさでなく、活き活きした温かい相互の命があり、血の通った関係が、生命があふれています。その人たちは洗礼によってイエスと共に葬られ、一度自分に死んだ人です。そしてイエスの復活に与って生かされている。イエスの命に与って生きている。

　　復活すれば、地上で体の不自由だった者も不自由さから解き放たれ、地上で精神的にダメージを受けた者も、トラウマから解き放たれ、それらをすっかり背後にして全ての人が神によって力を与えられて生きて行くのです。

　　コリント前書にあるように、朽ちるもので蒔かれ、朽ちないものに甦り、見えるもので蒔かれ、見えないものに甦り、肉の体で蒔かれ、霊の体に甦るのです。そしてヨハネの黙示録も、「もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである」と語っています。

　　　　　　　　（完）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１５年８月２日



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　板橋大山教会　上垣　勝



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