天使のような人々


                          9月のチュイルリー公園         (右端クリックで拡大
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                                                   天使のような人々 (中)
                                                   ルカ20章27-40節


                              (2)
  さてこの難題に対し、イエス様は、「この世の子らはめとったり嫁いだりするが、次の世に入って死者の中から復活するのにふさわしいとされた人々は、めとることも嫁ぐこともない。この人たちは、もはや死ぬことがない。天使に等しい者であり、復活にあずかる者として、神の子だからである。死者が復活することは、モーセも『柴』の個所で、主をアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神と呼んで、示している。神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神なのだ。すべての人は、神によって生きているからである」 と答えられたのです。

  先ずここで大事なのは、イエス様はこの世に基づいて神の世界を類推する人たちの問題点を見抜かれたことです。彼らはレビラート婚から考えると復活は不合理だと批判しました。だが、彼らが神の真理を誤解するのは、この世の事から神を類推しようとする所にあります。目に見える世界があると共に、神の見えざる世界があるのです。それを切り捨てることからサドカイ人の現世主義と横柄な態度、権力主義と刹那的な生き方が生まれると見られたのです。彼らの考えは外に開かれず、閉じられた考えだからです。

  さてイエスは、今日の所で非常に耳新しいことを語られました。これは誰しも耳を疑うような言葉でしょう。

  イエスは、結婚はこの世の在り方だ。しかし、次の世では、妻を娶(めと)ったり、夫の家に嫁いだりしない。次の世は、「復活するのにふさわしい人々」の世界であるが、そこでは現世の在り方とは全く異なる。第1に、もはや子供を生む必要がない。そこでは誰も死なないから出産は不要である。女性は誰かの妻として所属するのではない。この世では妻はしばしば夫のもの、所有物とさえされて来ましたが。そうではないと言われるのです。

  人との出会いや交わりは盛んであり密接に在ります。偽の愛が行き渡っているこの世と違い、そこでは真実な愛が行き渡っています。だから人と、人の語る言葉に信頼できる世界です。だが、子どもを産むという事業は越えられている。生殖を越えた、人格的出会いが最高に重要になる世界だということです。

  アメリカで先ごろ同姓婚が認められ、男同士、女同士の結婚が、異性同士の結婚と同じように結婚として認められました。結婚として認められるとは、家族として認められることですから、日本的に言えば年金も、健康保険も入れるなどの多くのメリットが生まれます。次の世は復活した者同士ですが、それが先取りされている世界かも知れません。この世では同姓婚には色々問題をはらみますが、次の世ではただ人格的出会いだけが重要になりますから、この世で心配なことも何ら問題なく、素晴らしい価値を発揮しているかも知れません。想像を逞しくすればそんなことも考えさせられます。

  いずれにせよ、結婚という在り方は、この世においてだけ必要な在り方だという事です。死があるため、必然的に神がお作りになったのであって、次の世では結婚と出産はないという事です。

  そして皆、天使のように誰の妻、誰の夫という事から超越して、皆が独立的に、自由に1人格として生き、今より、もっと素晴らしい喜びの生活がある。男性、女性の違いも超えられている。

  そして、それぞれは天使のように神に仕え、神と共にある。一人ひとりが神に在って独立し、男尊女卑はなく、あっさりと独立した人格として存在している。少なくても、夫婦の腐れ縁はなく、天使のように清々した人格として関係し合う。

  ただイエスが言われたのは、復活しない人たちでなく、復活した人たちの新しい世での在り方が、天使のようであり、現世の在り方と全く異なるという事です。復活しない人たちについては、幾ら恋人たちが「次の世でまた再会しよう」とロマンチックに約束してもそうなるとは限りません。イエスはここでははっきり語っておられませんが、彼らにとっては真実な意味での次の世はないかも知れないのですから…。

        (つづく)




                                             板橋大山教会 上垣 勝



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