適当に一生を終えるだけ


                    マレ地区を歩ききれいなリボンを求めました。     (右端クリックで拡大
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                                                 私はいったい誰? (中)
                                                 ルカ20章20-26節


                              (2)
  回し者たちはこう言いました。「先生、わたしたちは、あなたがおっしゃることも、教えてくださることも正しく、また、えこひいきなしに、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています。ところで、わたしたちが皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょうか。」

  実に口がうまいです。よくここまで口が回ると思います。こんなに言葉を重ねてイエスに取り入る。その才能を悪事でなく善に使えば相当成功するでしょうね。

  「おっしゃることも、教えてくださることも正しく」と言っていますが、「おっしゃることと教えてくださること」とに、差があるでしょうか。余り違わないのに、言葉を重ねることで重みが増し、イエスを尊敬し深く理解していますと安心させたいのでしょう。

  「えこひいきなしに、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています」と言います。あなたは地位やステイタスで判断される方でございませんということです。そんなもので生きている輩(やから)なのでしょうか。「真理に基づいて神の道を教えておられる」とは、最大の賛辞です。それが分かっているのなら、悔い改めて、イエスの弟子になって従えばいいのです。そこが、正しい者を装っているだけだからそんな気はサラサラない。

  彼らは自分を誰だと思っているのでしょう。恥も外聞もなく口から出任せ。イエスを罠にかければいい。そのために一言でもボロを出させたらいいのです。

  彼らに取って、自分とは何者でしょう。喰って行くため、家族を養うため、稼いで行くために手段を選ばない。どんなやばい金儲けもする人間。それが人間さと嘘ぶき、諦めているのでしょうか。

  1500億円もの粉飾会計。東芝の3代にわたる社長辞任。人間とはいったい何者かと考えさせられます。真理や正義などは不要だ、神など不要だとする。喰って、寝て、金を儲け、ストレスを適当に発散させて適当に一生を終えるだけ…。もしそうだとしたら、私たちはいったい何者でしょうか。

  彼らはイエスに取り入り、安心させておいて、「ところで、わたしたちが皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょうか」と質問しました。トリックです。「律法に適っている。納めるべきだ」と答えれば、民衆はローマを憎んでいますから、イエスと民衆の間を裂くことが出来ます。「適っていない。納めるべきでない」と答えれば、直ぐローマの官憲に訴え、イエスを逮捕させることが出来ます。「分からない」と言えば、律法についてのイエスの無知を民衆の前にアピールし笑う事ができるでしょう。何れをとっても、イエスをジレンマの中に陥れることが出来たと、心の中でほくそ笑んだのです。

  今や自分たちが直接手を下さなくても、イエスを倒すことが出来ます。実に卑劣な手です。

  彼らはイエスに、「率直な所をお聞かせ下さい。長いご説明は不要です。単純にイエスかノー、あれかこれかを言って下さればいいのです」と迫ったのです。すべては罠にはめるためです。

  するとイエスは彼らの企みを素早く見抜き、「デナリオン銀貨を見せなさい。そこには、だれの肖像と銘があるか」と問われました。イエスに手渡すと、イエス様はそれを皆の目の前に差し出し、「だれの肖像と銘があるか」と問われ、彼らが「皇帝のものです」と言うと、イエスは、「それならば、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」と言われたのです。

  当時、ユダヤはローマの支配下にありました。住民はローマのデナリオン銀貨で税金を納めなければなりません。銀貨には片面に皇帝カイザルの像、他の面には皇帝の銘が刻まれていました。2千年後の今も残っていて、私も何度も見たことがありますが、そこには、皇帝の名と、崇高なる神と刻まれていて、時代によっては皇帝礼拝を強要したのです。

  このコインが出回っている所は皇帝の支配する地で、現地人には耐え難い屈辱でした。

       (つづく)

                                             2015年7月26日



                                             板橋大山教会 上垣 勝



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