世界に恥を晒すでしょう


                             パリ市庁舎      (右端クリックで拡大
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                                               甕(かめ)とブドウ酒の譬え (3)
                                               エレミヤ13章12-27節


                               (3)
  18節は、王と太后(たいこう)に対する言葉です。最後から2番目の王エホヤキンとその母です。先週申しましたように、もう王国は崖っぷちにいます。

  「王と太后に言え。『身を低くして座れ。輝かしい冠は、あなたたちの頭から落ちた。』ネゲブの町々は閉じられて開く者はなく、ユダは…」ユダの南部地方ネゲブの町々でさえ、北から襲う軍隊に備えて城門を固く閉ざしました。ユダの地方では既に多くの人が捕囚となり、バビロニアに強制連行されて行きます。王国の終焉が近いのです。ダビデから続いて来たダビデ王家という輝かしい冠は、既に実質的に頭から落ちたのです。それにも拘らず、王は「なぜ、このような事がわたしに起こるのか」と問っている。

  虫が良すぎるのです。さんざん自分勝手をしておいて悔い改めの声もありません。身から出た錆、当然の帰結です。

  「北から襲う者」とはバビロニアの軍隊です。「あなたにゆだねられた群れ、輝かしい羊の群れはどこにいるのか。」本来、イスラエルの王は神からその群れを委ねられました。責任を持って民衆を養わねばならないのです。それは本来なら、感謝であり、誇りであります。だが今や、輝かしい羊の群れはなく、「指導者として育てた人々が、あなたから失われるなら、あなたは何と言うつもりか。」という様(さま)になっています。

  これは今の日本にも関係して来る言葉でしょう。指導者として国を率先して守って来た人たちがいなくなれば、どうなるのか。これまで、戦争の経験と共に平和憲法を守り、戦争放棄を世界に向かって誓って来た国民や法の番人たち。(これにはこれまでの内閣法制局長たちも含みます。)集団的自衛権など今の平和憲法から引き出せる筈がないと、解釈改憲違憲だと、今の政府に否を突きつける人たちがすっかりいなくなれば、日本はどうなるのか。そんな国にしてしまえば、あなたは神の前でどう申し開きするつもりか。非常に重い言葉として迫ります。

  王の重い罪のゆえに、「着物の裾は剥ぎ取られ、辱めを受ける。」王の権威を象徴する衣。太后の長く優雅に床を擦るドレス。それらがまくり上げられ、裾を剥ぎ取られ、権威を剥奪されたあられもない姿で歩き廻ることになる。即ち、国は世界に向かって恥をさらすものとなろうと言われるのです。

  なぜこんな目に会うのか。それは、君たちの強情な罪の故である。クシュ人、即ちエチオピア人のコールタールのように真っ黒な肌、豹の皮の不思議な斑点。誰もその自然の色も模様も変えることはできない。そのように、罪は君たちの本質そのものになっていると語るのです。

             (つづく)

                                             2015年7月5日



                                             板橋大山教会 上垣 勝



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