大胆にも、公然と行きました


                         久しぶりに見取れました         (右端クリックで拡大)
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                                                 あなたは必要な人です (上)
                                                 ルカ19章29-36節



                               (1)
  この段落全体は棕櫚の主日に読まれる所で、いよいよ今日の所からイエスエルサレム入場が始まります。来週はエルサレム入場の場面を扱いたいと思いますが、今日の所では、「イエスはこのように話してから、先に立って進み、エルサレムに上って行かれた」とありました。イエスは先頭に立ち、処刑される地に躊躇せず進まれたのです。

  ヨハネ福音書を見ますと、この時すでにユダヤの最高法院、日本で言えば国会がイエスを殺す決議をしていました。だがイエス様はこっそり隠れてではなく、大胆に公然と入って行かれたのです。無論身を隠して隠密(おんみつ)行動をしようと思えば出来ますが、ロバの背にまたがって誰の目にも明らかに入場されたのです。

  ここに、主なる神に絶対的に信頼してお仕えするイエスの強い意志が感じられます。優柔不断でなく、神の栄光を目指して喜びをもって進まれる姿です。それは、イエスが私たちの罪の贖いのために供えものとなって下さるためであると共に、十字架の上で両腕を大きく広げ、悩み苦しむ人、疎外され虐げられている全世界の人々を大きく包み、受け留めるためです。そのために強い意志をもってエルサレムに進んで行かれたのです。その愛の深さに驚きます。

  無謀な討ち死にをするためではありません。潔く死ぬことや、英雄に祭り上げられることが目的ではありません。すべての苦難を舐めている人たちを愛し、慰め、その人たちに連帯するためです。

  そして、オリーブ畑と呼ばれる山の中腹に点在するベトファゲとベタニアに近づいたとき、二人の弟子を使いに出して、「向こうの村へ行きなさい。そこに入ると、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。それをほどいて、引いて来なさい。もし、だれかが、『なぜほどくのか』と尋ねたら、『主がお入り用なのです』と言いなさい」と 語られました。

  オリーブ畑と呼ばれる山、これは弟子たちとしばしば祈られたオリーブ山のことですが、その東側の中腹にあるベトファゲ村とベタニア村に近づかれたのです。エルサレムはここから3km程の所にあり、山を巻いて西側に廻り、そこから急な坂道を谷底まで下り、再び坂道を登ればいいのですが、イエスはこれらの村の手前に来た時、2人の弟子に30節以下の言葉をおっしゃったのです。

  イエス様はしばしば弟子たちを2人1組で遣わされました。互いに助け合い、補い合うためです。説明する迄もなく、1人が話しもう1人が補って別の角度から話すと説得力が出ます。私たちの日常生活でもこのような互いの協力は大事です。

  その村に「入ると、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる」とか、「誰かが何か言ったなら…」と話されました。この辺を読むと、イエスの準備の良さに驚きます。イエスは魔術師でも奇術師でもありません。予め持ち主と打ち合わせておられたのでしょう。もしかすると、前日にザアカイの家の客となったのですから、この辺の事情に詳しいザアカイに頼んでおられたのでしょうか。

  いずれにせよ、人は大胆さだけでなく、綿密さや、時には細心の注意深さも必要です。イエス様は救いの事業を果たすために来られた訳ですから、手際良く綿密な御計画を進められたに違いありません。

  こうしてイエスはロバの子に乗ってエルサレムに向われますが、マタイ福音書は、エルサレム入場に使われたロバについて、「柔和な方で、ロバの子に乗って」と語る預言者ゼカリヤの預言を引用して、この預言の成就と見ています。また、まだくびきを負ったことがない子ロバは、特別な宗教儀式に用いられることがありましたから、エルサレム入場と十字架の死という人類の救済の特別重要な事業のために子ロバを用いられたと考えることができます。

       (つづく)

                                             2015年5月3日



                                             板橋大山教会 上垣 勝



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