国家が牧師資格を剥奪しても
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「和解の教会」の中央。ブラザー達の席の最後尾にこのイコンが置かれています。
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風味をそえる塩 (中)
マタイ5章13-16節
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暮れの29日から1月2日まで、テゼ共同体のヨーロッパ大会が今回はチェコのプラハであり、数万人の若者たちがヨーロッパの全ての国から集い、他の大陸からも参加者があり、日本からも青年たちが行きました。ご存じのように、参加者の多くがプラハの各家庭に4日間のホームステイです。
チェコは長く共産主義政権下に在ってキリスト教はひどく弾圧されキリスト教徒は少数者です。しかし1989年に、「ビロード革命」という銃や大砲によらない革命が起こり、国境線が崩れ、爽やかな自由の空気が国に吹き込んだのです。その時のキリスト者たちの働きは大きく、今日は詳しくは申しませんが、決定的に重大な役割を担いました。
チェコの民主化が準備されるのは、この「ビロード革命」の数十年前からです。今は高齢で、病気だそうですが、アルフレッド・コカブ牧師がその一人です。彼は1967年にチェコで最初にテゼに行った人ですが、彼は弾圧され、何年間も牧師資格を剥奪され宣教を禁じられました。それで、優れた牧師ですが博物館のボイラー係りになりました。
そして私は驚くのですが、彼は地下室のボイラーの側に、夜間、牧師になろうとしている青年たちを秘密裡に呼んで、密かに神学教育をしたのです。たとえ政府が牧師資格を剥奪しても決して神の召しを剥奪できない。「たとえ肉体を殺せても、魂を殺すことはできない。」そういう信仰に生きました。彼は石炭で顔を真っ黒になりながら、青年たちの前に立ち聖書と神学を教えたのです。
今、私は「あなた方は地の塩である」という御言葉についてお話しています。地の塩は、人々の塩は、世界の塩は、風味を添える塩味を失ったらダメだと、掃き捨てられるとイエスはおっしゃったのです。厳しいですが心に留めたいと思います。
日本にも「一隅を照らす、これ国宝」という言葉があります。比叡山を開いた今からほぼ1,200年前の最澄の言葉ですが、やはりイエスの言葉に通じます。
コカブ牧師のことに戻りますが、彼の場合は共産主義国家という個人を圧倒する大岩がのしかかって来ました。だが、非常に多くの障害物が襲って来ても、どうして苦しみ続けなければならないのかという疑問が起こってもキリストを信じ続け、ほんの少量、ごく僅かの塩が地に風味を添えることを思ってキリストに従ったのです。そのようにして彼はチェコの最も困難な時代に信仰を証し続ける証人になり、民主化を準備して行く一人になるのです。
(つづく)
2014年1月4日
板橋大山教会 上垣 勝
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