誰かを祝福したことってありますか。


        クリューニ修道院の後ろの庭園から。手前の建物は今は技術学校の教室に使っています。
                                              (右端クリックで拡大)
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                                                 子どもを招くイエスさま (上)
                                                 マタイ19章13-15節


                              (1)
  「そのとき、イエスに手を置いて祈っていただくために、人々が子供たちを連れて来た。」……やがて最後に、イエスは、「子供たちに手を置いてからそこを立ち去られた」とあります。

  昨日のバザーには35人の方々がスタッフとして奉仕くださいました。1,000人程の来客があり、お疲れでしたでしょう。ご苦労様でした。バザー開始前の集まりで、復活のイエスは、「手を挙げて彼らを祝福された」と聖書にあることのを申し上げて、今日バザーにいらっしゃるお客さん、地域の方々を祝福いたしましょう。どんな重荷や悩みを抱えておられるかも知れません。手を上げなくてもいい、心の中で神の祝福を祈って接しましょうと申し上げました。

  ところが今日の所では、「イエスは子供たちに手を置いて」祈られたとあります。手を挙げてではなく、1人1人の頭に手を置いて祈り、祝福されたと言うのです。

  皆さん、誰かを祝福なさったことがありますか?ありません?では、誰かから祝福されたことはおありでしょうか?こちらはおありでしょう。

  プロテスタントの一大特徴は万人祭司です。信仰者は誰しも祭司である。祭司は、神と人との仲立ちをする者、祝福する者です。ですから皆さんも人を祝福してよいのです。一生に1人でも2人でも祝福して下さい。夫を、妻を、両親を、子供を、友を、誰かを…。

  日本人は穴潜りが好きですね。奈良の大仏の柱の穴を潜るというのは有名です。日本のあちこちに大岩の穴くぐりというのもあります。潜ると頭がよくなる。安産できる。汚れが清められると言うのです。これらは祝福というよりご利益です。だが祝福はその方の存在そのもの、人生を祝福することです。


  最近ドイツのある町に招かれた、一人のアフリカの古老がいました。その国で尊敬されている精神的指導者のようです。ドイツ人を前に、誰かを祝福したことがありますか?と尋ねたそうですが、誰もいなかった。

  祝福とは、人生、その生涯を祝福することで他者への最高の関わり方です。人生で一番の幸いは、人の生涯を祝福することです。アフリカでは日常的に行われることだそうです。人を祝福しようという生き方が大事なのです。そういう人たちによって社会が構成されることが素晴らしいことなのです。祝福するとは、人生に神の恵みを祈ることです。能力や才能でなく、その存在自体が神に祝福されること。健康を祈ること。人生を喜び、感謝し、積極的に生きる人であることを祈る。地の塩、世の光として、小さい光であってよい、光を放って生きるようにとの祈りです。

                              (2)
  さて、イエスに手を置いて祈って頂くために、人々が子供たちを連れて来たのに、「弟子たちはこの人たちを叱った。」とんでもないことをしたのです。ここは大人の世界だ、子供の来る場所ではないとか何とか言って厳しく叱った。ユダヤの社会習慣の下で、弟子たちも女性や子供に差別的だったのでしょう。何しろ2000年前です。

  選挙前には政治家の講演会が盛んになりますが、今の時代、もし、先生は立派な方なので我が子を祝福してやって下さいとお歴々が集まる会場に連れて行ったら、どうでしょう。祝福してくれますか。ここは子供の来る場所ではないと弾かれませんか。有名な企業の社長さんたちがいます。ぜひ尊敬する社長さんのようになれるように、我が子を祝福してやって下さいと言ったらどうでしょう。弟子たちのように、受け付けて断られるのがオチでしょう。社長さんや偉い学者さんでも人を祝福したことはないのではないでしょうか。人を祝福したいと思って生きているでしょうか。人をけ落としても、人を祝福しようとしては生きていないのではないでしょうか。

        (つづく)

                                              2014年10月19日

                                              板橋大山教会 上垣 勝



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