打ち勝てない罪に打ち勝っていただく
ゴルナーグラートの展望台兼ホテル。一瞬にしてガスります。
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聖霊に満たされた人々 （下）
使徒言行録２章１－４節
（４）
どうして、そのような者に変えられたのでしょう。その一つの視点を、２章３７節以下が提供してくれます。こうあります。ペンテコステのペトロの説教の後、「人々はこれを聞いて大いに心を打たれ、ペトロと他の使徒たちに、『兄弟たち、私たちはどうしたらよいのですか』と言った。 すると、ペトロは彼らに言った。『悔い改めなさい。めいめい、イエス・キリストの名によって洗礼を受け、罪を赦していただきなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けます。…』」
五旬祭の日に聖霊降臨の出来事が起こり、多くの巡礼者がペトロの説教を聞いて彼と交わした言葉です。
初代のキリスト者たちが与えられた聖霊、彼らが授かった喜びと大胆さはどうして与えられたのか。ペテロは、悔い改め、めいめいキリストの名によって洗礼を受け罪を赦して頂くこと、そうすれば賜物として聖霊を与えられると勧めたのです。
体を洗礼の水に沈められ、父と子と聖霊の名によって洗礼を授けられて、これまでの罪をことごとく赦して頂く。だが水の中に飛び込めば罪が赦されるのではありません。赦され難きものを持って、洗礼を受けても何も変わらないのでないかと、洗礼の前で思いまどうのが人間です。自分の力ではどうしても変わらない自分を抱きながら、どうすれば新しくなるのだろうと思案に暮れているのが私たち生身の人間です。そんな私たちが、水の中に勇気を持って飛び込むのではありません。闇雲に何かをするのではありません。
闇雲でなく、キリストの前に委ねて身を差し出すのです。キリストの恵みの前に罪の身を差し出すのです。預ける。そして父と子と聖霊の名によって、キリストの中へ、十字架のキリストの中へ沈めていただくのです。そして復活されたキリストと共に罪の中から引き上げて頂く。
キリストがヨハネから洗礼をお受けになった時、「正しいことを全て行うのは、我々に相応しいこと」だと語って、イエスご自身が洗礼を受けられました。そのイエスに従うのです。
いずれにしろ、キリストから罪を赦して頂く。８割方、９割方でなく、１００％罪を赦して頂く。その一事が起こると喜びが湧き上がってきます。キリストにある感謝が湧いて来ます。この一事です。ここに、命を掛け得るものがあると分かって、命を賭ける一歩が始まります。
その一歩は信仰の新しい一歩だけではありません。囚われから一歩突き抜けていく生活へとつながっています。私たちは躊躇し、悩み、頭では分かっていても進めなかった。だが罪が赦される時、一歩を歩み出す喜びが湧き上がるのです。
儀式ではありあません。儀式や義務からでは力は出て来ません。心底からの喜びは湧いてきません。罪を赦して頂くとは、神の御子キリストに、打ち勝ち難い私の罪に打ち勝って戴くことです。私は打ち勝てなくても、キリストが打ち勝って下さる。
洗礼を受け、罪を赦して頂き、頑固で頑なな罪の私を打ち砕いて頂いたからこそ、罪から解き放たれて喜びの共同体となったのです。
最初の教会はこうして聖霊に満たされた群れとなり、歴史の中に産声を上げました。私たちの教会はこの最初の教会の命に与りながら、今の時代を、思い切って御言葉を語りながら歩んでいきたいと思います。そこまで自分の殻に打ち勝って頂いて、一つのものに掛けて行きたいと思います。
最初のペンテコステの時、聖霊は一人一人の上に降りました。私たちも一人一人の上に聖霊が降って、一人一人がキリストの赦しの喜びに与って教会を造り上げていきましょう。
（完）
２０１４年６月８日
板橋大山教会 上垣 勝
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