墓前礼拝


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                                                    墓前礼拝
                                                    詩編49篇


                               2)
  こうも語っています。「人が見ることは、知恵ある者も死に、無知な者、愚かな者と共に滅び、財宝を他人に遺さねばならないということ。自分の名を付けた地所を持っていても、その土の底だけが彼らのとこしえの家、代々に、彼らが住まう所。」これも、この場所に立てば、大きな声で、アーメン(「本当です」の意)と言わずにおれません。

  「自分の名を付けた、その土の底だけが彼らのとこしえの家、代々に、彼らが住まう所。」何と辛辣でしょう。だが真理です。トルストイは、「人にはどれほどの土地がいるか」という童話で、このことを滑稽に描いています。恐らくこの詩篇からヒントを得たのでしょう。

  主人公は、1日で、できるだけ広い土地を回って夕べまでにここに戻って来なさい、あなたが回った地は皆あなたのものになると言われ、大喜びで、できるだけ遠くまで行き、大きく回って戻って来ます。だが約束の時間までに着かねばなりませんので大急ぎで走って戻ります。喉は乾き、汗だくになり、息せき切って、死に物狂いで倒れそうになってやっとたどり着きました。だがそこに着いた時、バッタリ倒れて事切れてしまいます。すると彼の体が入るだけの穴が掘られ、葬られたのです。彼は猛烈な努力をし、できるだけ広大な土地を自分のものにしようと猛烈に歩き回ったのですが、彼に必要な土地はたった彼の背丈だけであったというのです。

  聖書は文豪にも深い示唆を与えるのです。

                               3)
  次に、「人間は栄華のうちにとどまることはできない。屠(ほふ)られる獣に等しい」とありました。

  人間は万物の霊長だなんていい気になっているが、「屠られる獣に等しい。」豚や牛同様いつ屠殺されか分からない。屠殺というと語弊がありますが、ほぼ同じだというのです。ここにも人生の真相があります。そして、「これが自分の力に頼る者の道、自分の口の言葉に満足する者の行く末」と語ります。

  力に依存し、傲慢にも自分の主張や思想や功績や何かを誇り、それに自己満足し切って偉大さを吹聴しても、これが最後に行き着く所です。

  最後の節の、「人間は栄華のうちに悟りを得ることはない。屠(ほふ)られる獣に等しい」という言葉は、さらに捻(ひね)った言葉です。富めば富むほど人は悟りから遠ざかると言いたいのでしょう。栄華も悟りも、両手に花なんて虫がよ過ぎます。二兎を追う者は一兎をも得ずだと突き放すのです。

                               4)
  以上、この詩篇には、人生に対する辛辣で的を射た言葉がありますが、これらをよく知った上で、私たちは今をよく生きることが必要です。たとえこれが事実であっても、これが厭世観ニヒリズムを生むとは限りません。これが事実であっても感謝の道、平和の道、喜びの道があるからです。

  それは、「私は道であり、真理であり、命である」と言われる方がおられるからです。このお方が命あふれる平和と喜びの道へと導いてくださるからです

  そのことをこの詩編は、「神はわたしの魂を贖い、陰府の手から取り上げてくださる」からですと語っています。神が私たちの魂を、どんなにそれが高価であっても贖い取り、救い、買い取ってくださるからです。ここに、魂を虚しさから救い、人生に意味と喜びを授けて下さる方がおられるのです。ここに私たちの救いがあります。恐れる必要はないのです。思い煩うことはないのです。

  イエスも全ての業を大胆にし尽くして、最後には十字架の上で、「成し遂げられた」と語って首を垂れられました。十字架の最期は完成の時となって、神を仰いで息を引き取っていかれました。全ての人に、ご自分を贖(あがな)いとして与えながらです。

  この方を仰いで行くとき、厭世観ニヒリズムでなく、復活の喜びと感謝と平和の道が敷かれているのです。召された人たちはこの道を歩んで主のもとに召されたのです。

         (完)

                                        2014年5月11日



                                        板橋大山教会 上垣 勝



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