レベルの高い人とお友達になれる


                       P.Rubens、チューリッヒ市立美術館で 
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                                          男と女 (3)
                                          Ⅰテモテ2章8-3章1節


  (前回、前々回からお読みください。)

  ただ、それは、当時と今をゴッチャにするから生まれる誤解です。

  当時の教会は貧しい人が多かったのです。今では考えられないほどの貧しさです。次第に裕福な上流階層や貴族も来るようになりましたが、大半は貧しかった。ギリシャ・ローマの上流の知識階層は、当初はキリスト教の高い倫理観に惹きつけられて教会に来始めたのです。だが、意識の高い人が増えるに従い、教会に行くとハイレベルの人とお交わりが出来ますわと、教会に社交を求めて来る人たちが生まれました。

  先日、教会の坂の下辺りを通る婦人たちがあったそうです。聞くともなく耳に入ったのは、数人の婦人たちが、「ここは日本基督教団の教会のようね。どっちみち教会に行くのなら、大きい教会がいいのよね。だって、小さい教会は、献金献金ばっかり言うでしょ。それに、大きい教会ではレベルの高い、センスのいい人とお友達になれるじゃない」と歩きながら話していたといいます。それで、走って行って「大山教会は、献金献金って言いませんよ。それにセンスのいい人達も…」って、教えてあげたかったと言うんですね。

  それはいいことにして、現代でも信仰生活が社交になると、いつの間にか、手の込んだヘヤー・スタイル、高価な真珠や金や宝石類の髪飾りを着け、目の覚めるような艶やかな、あるいはシックな高価な服装で教会に来る人が現れます。これは、それに対する警告です。

  教会に集っているのは、キリストに贖われた兄弟姉妹でないか。大半が、食べ物も充分手に入らぬ貧しい生活をしているのに、ごく一部の人が、「髪を編み、金や真珠や高価な着物を身に着け」て、素知らぬ顔で教会に来ていていいのかという事です。そう見ればここは納得できます。

  当時の教会の様子が、6章7節以下で伺われます。「わたしたちは、何も持たずに世に生まれ、世を去るときは何も持って行くことができない…。食べる物と着る物があれば、わたしたちはそれで満足すべきです。」これが一般の生活です。それに対して、「金持ちになろうとする者は、誘惑、罠、無分別で有害なさまざまの欲望に陥ります。その欲望が、人を滅亡と破滅に陥れます。金銭の欲は、すべての悪の根です。」

  経済さえ良くなればという考えは、平和憲法を捨ててもいい。今の暮らしが大事だということになりかねないのです。しっかり考えなければなりません。良識を持って生きるために食べるのか、食べるために良識を捨てるのか。

  17節以下では、「この世で富んでいる人々に命じなさい。高慢にならず、不確かな富に望みを置くのではなく、わたしたちにすべてのものを豊かに与えて楽しませてくださる神に望みを置くように。善を行い、良い行いに富み、物惜しみをせず、喜んで分け与えるように。」

  今日も富の誘惑があります。富を多く持つと、いつの間にか人に対し警戒的にさせ、ガードを固くさせ、隔てを作ります。塀を高くし、監視カメラをつけ…。歩いていると、この辺りでもそんな家がままありますよ。

  「物惜しみをせず、喜んで分け与えるように」とは、あなた方は神の家族、キリストの兄弟姉妹です。キリストによって、同様に贖い取られた者、キリストに愛されている者たちではないか。世の裕福な婦人たちのように、「髪を編み、金や真珠や高価な着物」、その他、色々な高級な物で身を飾るのでなく、質素になり、貧しい兄弟姉妹に惜しまず分かち合って、「善い業で身を飾るのが、神を敬う婦人にふさわしいこと」ではないか、ということです。キリストは私たちに仕えられました。私たちも貧しい人に仕えよう。善い業で身を飾ることが、私たちの内なる人格を飾る最高の素晴らしい装い方ですというのです。

          (つづく)


                                      2014年3月2日


                                      板橋大山教会 上垣 勝



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