掃除や煮物をしばらく忘れて
ウン、これはいける！
元はハンガリアの伝統的なケーキ。トラックの屋台でお婆ちゃん＋お母さん＋娘の３代でやっていました。
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塩味を備える
ルカ１４章３４－３５節
（序）
今日は皆さん、なるべく早く帰りたいと思っていらっしゃるのでないかと思います。年末のお掃除も、お正月の煮物も気がかりでいらっしゃろうと思います。ですから短くお話しますので、掃除や煮物をしばらく忘れて、御言葉に集中しましょう。
（１）
イエスは塩を讃えられました。「確かに塩は良いものだ。」私も家庭でもう少し料理に塩を利かして辛くしてもらいたいと常々思っていた所でした。でも、愛するがゆえに家内は塩っけを減らしてくれていまして、いつも感謝しています。
冗談はよして、確かに塩は、パンにも、アンコにも、ビフテキにも、ラーメンにも、漬物にも、殆ど塩が入らない料理はないのではないかと思います。第１、私たちの血液に０．９％の塩分が含まれています。塩分が足りないとふらついたり、脚がつったりしますから、人間は絶対塩なしに生きることはできません。
むろん塩分が多いと喉が渇きますし、取り過ぎますと高血圧になります。喉の渇きは、体内の塩分濃度を下げようとして水分補給を要求しているサインです。
絹の道は東西文化の交流の道として有名です。塩の道というのもありました。これは地味ですが、海から離れた人にとっては絹よりも不可欠な道でした。世界にも塩の道がありましたが、日本では新潟県の糸魚川から内陸部の松本へ、愛知県の岡崎から長野へなど、塩や海産物を運ぶ道がありました。ですから、越後新潟の上杉謙信と甲斐山梨の武田信玄が戦いの最中に、謙信が信玄に塩を送ったので有名になりました。それほど塩は絶対に不可欠です。
ですから、イエス様は塩の重要さをよく承知の上で「確かに塩は良いものだ」と仰ったのでしょう。
だが、その塩が塩味を失うことがあるというのです。失えば、「その塩は何によって塩味をつける」のかとおっしゃったのです。塩に塩味をつける。これはまったくユーモアです。聞いた人たちは笑い出したに違いありません。
パレスチナ地方の岩塩は塩味が抜けることがありました。不純物が多く、溶けて潮解するのが早く、他の物質に変化して塩味をなくすようです。化学変化ですから容易には元に戻らないのです。
そうなったら、「畑にも肥料にも、役立たず、外に投げ捨てられるだけだ。」イエスは大工だけでなく農業にも通じておられたのでしょう。
畑に塩をまくなんて頭がおかしいのでないかと、変に思われる方があるかも知れませんが、死海地方や日本でも海岸近くでは、塩を好む植物があります。そういう植物はナトリウムを積極的に利用して育ちます。ほうれん草がそうです。白菜もそう。チンゲンサイも、です。パレスチナでは、もしかしたらそういう野菜類が多いのかも知れません。
むろん塩害がありますから、撒き過ぎると畑が白くなります。申し訳ありません。今日は化学の授業か農業の授業みたいになっています。
さて、塩が化学変化して塩気がなくなった場合、「畑にも肥料にも、役立たず、外に投げ捨てられるだけだ」と言われたのです。これはどういうことでしょうか。今言いましたように、化学変化を起こして変質した塩を畑に撒いても役立ちません。また肥料として牛糞や馬糞と一緒に積んでおいても、牛糞や馬糞は寝かしておけば、次第に熟成していい肥料になりますが、一度変化した塩は熟成したり元に戻るわけでないので、肥料にならないということです。
（２）
そうなれば、廃棄物として捨てられるだけです。そう語って、イエス様は、「聞く耳のある者は聞きなさい」と、人々に解釈を委ねられたのです。では、私たちは塩味をなくした塩の譬えから、何を、どう聞けばいいのでしょうか。
（つづく）
２０１３年１２月２９日
板橋大山教会 上垣 勝
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