腰を据えて考えてみよ


             Zürich Grossmünsterの塔上からリマト川、St.Peter、Fraumünsterを臨む




                                            イエスの弟子 (上)
                                            ルカ14章28-33節


                              (1)
  今日の箇所は暫く前に取り上げた25節からの続きです。イエスは27節で、「自分の十字架を背負ってついて来る者でなければ、誰であれ、私の弟子ではありえない」とおっしゃったのです。

  それに続いて、今日の2つの譬えが語られました。塔を建てる人の譬えと戦いの譬えです。「塔を建てようとするとき」完成に必要な「十分な費用があるかどうか、まず腰をすえて計算しない者がいるか。そうしないと、土台を築いただけで完成できず、人々にあざけられて、『あの人は建て始めたが、完成できなかった』と言われるだろう。また、どんな王でも、二万の兵を率いて進軍して来る敵を、一万の兵で迎え撃つことができるか、「まず腰をすえて考えてみないだろうか。できないと分かれば、敵がまだ遠方にいる間に、和睦を求めるだろう。」

  ご説明する必要がないでしょう。イエス様の譬えは単純で誰でも分かります。ただそれが意味することは非常に深い井戸のように汲めど尽きないものがあります。それを汲み出すことができれば私たちの生命は喜びで満たされるでしょう。

  塔というのは石造りの堅固な見張りの塔のことですが、日本人が塔と聞くと、やっぱり東京スカイツリーでしょう。建設費は400億円。総事業費は650億円だったそうです。テレビ塔ですから、テレビ局の賃貸料と観光客の入場料、お店や事務所の賃貸料などで、元を取ろうという算段のようで、彼らもイエス様の勧めのように、「まず腰を据え」てじっくり計算したようです。

  震度7なら大丈夫らしいですが、マグニチュード9.0の場合を想定したかどうか。マグニチュード9.3のスマトラ島沖地震や9.5のチリ地震の例もありますから、そんなのが来ると傾く、倒壊すると警告する人たちもあります。

  教会の補強工事は、工事の2年ほど前から相談しました。リフォームの他、新築の見積も3社から取り、皆で再三検討しました。アンケート調査も何回もしました。あまりじっくり腰を据えて考えたので、シビレを切らした人もありました。年寄りは早くして欲しいという声も出たほどです。

  イエスがおっしゃるように、腰を据えて計算をしたのが良かったのでしょう。大震災直前の3月初めに完成しました。嬉しい想定外でした。半年でも開始が遅れていたら震度5強に耐えきれず、倒壊していたかも知れません。私たちより、神様が腰を据えて費用と時期を考えて下さったように思えます。当初の補強計画はたった300万円程度の予定でした。ところが2400万円の工事をすることになり、献金がどんどん寄せられて最後には3200万円の工事をしました。しかも完成と同時に費用をすっかり完済したのです。皆さんが色々知恵を出して下さったからです。

  いずれにしても、イエス様は、塔を建てる場合には大事業ですから、まず腰を据えて計算しない筈がないと言われるのです。

  次の譬えも明らかです。1万の兵で、2万の兵を迎え撃つことができるか。戦況が不利な場合、一層腰を据えて考えないだろうか。できないなら、和睦を申し出るものだと言うのです。

  アーメン、本当ですと言いたいです。太平洋戦争に負けたのは、物資も兵力も圧倒的に劣っているのにあえて戦争を仕掛けたからです。無謀なことをしたのは、日本の戦力、財力、物資などの客観的な国力を国民に秘密にして隠したからでした。秘密を保護して国民に知らせないばかりか、国民を戦争に駆り立てた。原因はそこにあった訳です。むろん優位ならば打って出よと言うのもおかしいのですが。

  イエス様は、洗いざらい双方の力を比較して、「腰を据えて考えてみないだろうか」と言われるのです。これをしていれば、あの戦争は避けえたし、日本人、外国人を合わせて2千数百万人とも3千数百万人とも言われる膨大な死者を出さずに済んだでしょう。日本軍が中国その他海外で2千万人もの人を殺したのです。その数に驚き、本当にゾッとします。侵略しなかったら、従軍慰安婦問題も、沖縄基地問題も、南京虐殺もなかったでしょう。

          (つづく)

                                       2013年12月15日


                                       板橋大山教会 上垣 勝



  ホームページは、 http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/

  教会への道順は http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/img/ItabashiOyamaChurchMap.gif


                               ・