世界変革の秘密兵器


チューリッヒ焼肉屋は凄かった。写真にあるこいつを串刺しして炭火で丸焼き。食べたらクセになりますぞ。
                                             (写真クリックで拡大)
                               ・




                                          味わい見よ、恵みを (上)
                                          詩編34篇1-23節



                              (序)
  先週は9節に入りかけたところで終わりましたので、その続きから福音をお聞きしたいと思いますが、先ずは8節までを短く要約しますと、ダビデは、厳しい試練の中にありながら、「どのような時にも、主を讃え、賛美を歌う」と語りました。そこから彼の信仰の逞しさを教えられました。また、貧しくされている人に向かって、「わたしと共に主をたたえよ。ひとつになって御名をあがめよう」と呼びかけていましたが、この呼び掛けの中に、深い意味が秘められていることを学びました。また、この呼び掛けや逞しさは、主は「脅かすものから常に救い出してくださった。助けてくださった」という、主の恵みの経験に基づくものであったということでした。

                              (1)
  このような中で彼は、9節で「味わい、見よ、主の恵み深さを」と語るのです。

  私は時々、「よく味わって食べてね」と妻から言われます。何でもお腹を満たせばいいという時代に育ちましたから、せっかく手をかけて作ってくれたのに、「よく味わう」ということができない人間で、工夫して作ったものなのによくよく味わうことがなくて、申し訳なく思っています。

  折角の主の恵みも、味わわれなければなりません。その恵みが持つ意味や内容をしっかりと味わう。すると神の恵みの重さも価値も分かって、喜びが生まれます。

  主の恵みは、私たちを遥かに超えて大きいのです。その恵みの大きさを正しく味わうなら、主が私たちを遥かに超えて働いて下さることも分かってきます。主の恵みを、私たちの手の内に閉じ込めたり、制限してはならないのです。主が、私たちの力を超えて働いて下さることを信頼して進むのです。

  弘前にいた時、教会の庭にクルミの木がありました。硬い鬼グルミの皮を破って、虫が中の実まで達しているのを生まれて始めて見て本当に驚きました。柔らかな体の、小さな何かの幼虫が、クルミの頑丈な殻を破ることができる。どんな鋭い歯を持っているのだろうと想像しました。恐らく口のごく僅かな部分が極めて硬く、その硬い部分で何度も硬い皮を根気よく噛んで、削って穴を開けるのでしょう。

  私たちは、与えられた人生の課題の意味が分からないことがあります。だが中々その意味が解けない時に、クルミの虫のように何度も硬い皮を削って中に入って行こうとする。そのたゆまぬ努力のうちに、主の恵みの意味が分かって来るのです。

  「味わい、見よ、主の恵み深さを」とは、自分の狭い考えが砕かれて、初めて主の恵みの深さを知ることを指しているのでしょう。

  星野富弘さんが口に絵筆を持って花を描いておられますが、単に描くのでなく、その花の美しさに出会って感動を覚えたものを、うまく引き出して描いておられると思っています。直感もあるでしょうが、その美しさはどこから来るのだろうかと問いながら、感動を覚えてそれを描いておられる気がします。

  主の恵みも同じです。主の恵みはそれを深く味わう時に喜びと感謝が訪れます。また、主ご自身が自分の所におられることを実感します。

  「味わい見よ。主の恵み深さを。」この言葉は聖餐式のパンと盃を味わう時に読まれる聖句でもあります。パンとぶどう酒を頂いて、パンの中に、ぶどう酒の中に主が隠れて存在しておられる。だからパンとぶどう酒を味わいながら、私のために命を捨て、血を流して下さったキリストが自分のところに来ておられるのを実感するのです。パンとぶどう酒を、キリストの徴として信仰をもって味わうとき、キリストの恵みが身近に溢れるものとなって私に満ちてくるのです。

  ですから、ある人は、「聖餐において渡されるものは、世界の変革のための新しい秘密兵器である」と語っていますが、私のために主キリストが十字架について下さったこと、死に勝利し、甦って下さったことは、私に希望を与え勇気づける秘密兵器になるのです。

  仕事がうまくいかなかったり、ヘマをやったり、落ち込んでいる時も、元気を与えられる秘密兵器になります。死を超える力がそこに宿っているからです。信仰を持たない人から見れば、パンとぶどう酒はただのパンとぶどう酒であり、どうして秘密兵器になるのか分かりません。だが、キリストが自分のところにおられることを味わい、主に愛されていることを深く受け止めることによって、再び私たちをこの世へと押し出す力になるのです。

         (つづく)

                                        2013年10月6日



                                        板橋大山教会 上垣 勝



  ホームページは、 http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/

  教会への道順は http://www.geocities.jp/itabashioyama_ch/img/ItabashiOyamaChurchMap.gif


                               ・