み言葉はわが道の光


  オーランジュの凱旋門レリーフ世界遺産。近くで触ることもでき取り扱いの大らかさに驚きます。)
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                                          み言葉はわが道の光 (上)
                                          詩編119篇105-112節
                                          Ⅰテサロニケ5:16-19節


                              (序)
  先程から、ウグイスの声が森の中から何度も聞こえます。また他の小鳥の美しいさえずりも聞こえています。窓越しに柔らかな陽がさす木漏れ日も見えて、いつもの礼拝は都会の緑の少ない場所ですから、一年に一度はこんな場所での礼拝はいいですね。みなさんのお顔もいいお顔をしていらっしゃいます。

  さて、時々招きの言葉を取り上げてくださいという求めがありましたので、今日は5月、6月の聖句を取り上げました。

                              (1)
  「あなたの御言葉は、わたしの道の光、わたしの歩みを照らす灯。」この信仰者の心は、神の前に真実で澄み切っています。私のように濁っていません。晴れ晴れして、真っ直ぐだと思います。

  私たちは人生の歩みの要所、要所で、右に行くべきか、左に行くべきか、迷って逡巡することがありますが、彼はその度に御言葉に導かれ、自分の姿と自分を取り囲む複雑な状況を照らされ、これから進む道を示されて歩んで来たのでしょう。御言葉が彼の決断の拠り所であったに違いありません。

  数年前に亡くなりましたが、日銀総裁であった速水優さんは、どこにいてもキリスト者として生きた人でした。日銀に、沈黙の部屋を作ってもらったそうです。さずがは「祈りの部屋」とは名付けませんでしたが、その部屋は神と出会い、神の前に沈黙して、御言葉によって決断する祈りの場所でした。無論世界の政治や経済の動向に思いを巡らせ、いろんな人の意見にも思いを巡らせながら、神の前で決断していく。そういう黙想の部屋、祈りの部屋です。

  「あなたの御言葉は、わたしの道の光」とありますが、私たち自身は今、どんな道を歩いているでしょうか。歩きやすい、順調な、かなり先まで見通せる、舗装された道でしょうか。それとも石ころの多い、躓き易い道でしょうか。足を抜くのも難しいぬかるみでしょうか。一歩ごとに、ぬかるみが深くなるのを感じる道でしょうか。道なき道を歩いているでしょうか。上り道でしょうか。下り道でしょうか。それとも急峻な胸突き八丁の峠道でしょうか。聖書の中には、死の陰の谷を行きながら、禍を恐れなかった人もありました。死の陰の谷とは、死の陰が忍び寄る恐ろしい谷間です。私たちは自分の道を、どういう思いで歩いているのでしょうか。

  この信仰者には、御言葉は、希望を授ける言葉であり、前進の勇気と力を授けるものだったのでしょう。どんな状況にあっても、御言葉に出会うと、彼の心にまた平和が甦って来たのでしょう。

                              (2)
  彼は次に、「わたしは誓ったことを果たします。あなたの正しい裁きを守ります」と語っています。

  「誓ったことを果たします」とあるのは、彼が、かつて信仰に目覚めた時、生涯、私はあなたの御言葉を道の光としますと誓ったのでしょう。それで、今それを思い起こし、誓ったことを果たしますと、自分に言い聞かせているのでしょう。

  私たちは、自分の歩みの原点に立ち戻るのは大切です。前の教会では一年に何回か結婚式がありまして、時には100人を超える参列者があったり、小人数のご家族だけの結婚式もありました。時々、式に参加した参列者たちから、今日は本当にありがとうございましたと心から喜ばれることが何度かありました。当人たちではありません。参列者からです。最初はどうしてか意味が分からなかったのですが、本人達はまだ結婚の意味がよく分かっていないのですが、ある程度結婚生活を続けてきた4、50代の参列者たちは、説教を聞かれて思うところが数々あるらしく、もう一度結婚当初に立ち返ることができたからだったようです。

  ですから、「誓ったことを果たします。」これは大事なのです。「わたしの歩みを照らす灯」という言葉にも、自分を反省し、自省をうながす灯という意味もあります。御言葉によって反省する、こういう自省も大切です。ですから、「御言葉は私の歩みを照らす灯。」私たちは、これを自分の信条にする必要があります。

     (つづく)


                                         2013年6月2日


                                         板橋大山教会 上垣 勝



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