思いと反対のことをしてしまう自分


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                                         救いとなる真理を愛そう (下)
                                         Ⅱテサロニケ2章1-12節
 

                              (4)
  最後に、「彼らが滅びるのは、自分たちの救いとなる真理を愛そうとしなかったからです」とありました。ここからもう一つのことを考えさせられました。

  自分には救いとなる真理が真理であることが分かっている。納得もしている。だが現実生活ではそれを愛せず、外れていく自分がいるということも事実です。これをどうするかです。

  即ち、愛そうとし、真理に留まろうとする思いは十分あるのですが、ついそれと反対のことをしてしまうのです。善を望んでいるのに悪をしてしまうのです。自分が望むことは行わず、望まない、憎むものをしてしまうのです。それに惹かれてしまうのです。

  善をなそうとしている自分に、悪がつきまとうのです。自分の五体にある心の法則と戦って、自分を罪の法則の虜(とりこ)にするのです。その力から自分をどうしても解放することができないのです。心では神に仕えているのに、肉では罪に仕えてしまうのです。

  そう言うことで悩んでいる方があるかも知れません。いや、結構多いと思います。実は大伝道者パウロはそれに悩んだのです。彼の悩みの急所はそこにありました。罪が自分を虜にしてしまうのです。だから、この問題で悩む人は特殊ではないのです。しかも、解決の道があります。

  マタイ福音書14章にこういう話が出てきます。イエスが夕方、強いて弟子たちをガリラヤ湖の向こう岸に行かせ、自分は山に登って祈っておられた。陽が沈み、弟子たちの舟が湖の中ほどに来た時、嵐が起こって波に悩まされ、転覆の恐れも起こり、行く手を阻まれて漕ぎ悩んでいた。いくら漕いでも前に進まない。

  やがて夜明けころになり、イエスは湖上を歩いて近づいて来られた。すると弟子たちは幽霊だと思って怯え、恐怖のあまり叫び声を上げたのです。イエスが後から小舟に乗ってきたが転覆して死に、幽霊になって海上をフラフラ歩いているということでしょう。ところがイエスは、「安心しなさい。私だ。恐れることはない」と言われたのです。ペトロは驚いて、「あなたでしたら、私に命じて、水の上を歩いてそちらに行かせてください」と頼みました。イエスが「来なさい」と言われるので、彼は舟辺から降り、波の上を1歩2歩と進んだのです。だが、強風に気づいて怖くなり沈みかけた。イエスに目を向けている時は沈まなかったのに、風に気を取られると沈んだ。イエスはすぐ手を差し出して捕まえ、2人は舟に乗り込んだ、と書かれています。

  イエスは「安心しなさい。私だ」と言われた。だが弟子たちは安心できなかったでしょう。「恐れるな」と言われても恐れが起こったでしょう。だがこの嵐の中で、「安心している人」が一人ここにいたのです。イエスです。このイエスによって、ペトロも他の弟子たちも助かったのです。

  弟子たちが強い信仰で、嵐を乗り越えたのではありません。ペトロにしても、彼の信仰が強かったから波の上を歩けたのではありません。イエスによって「多く助けられた」から歩けたのです。自力で歩いたのではない。

  そのように、真理であるイエスに多く助けられて、私たちは真理に留まれるのです。自分は罪の法則の中にあり、それに囚われています。だがイエスは囚われていません。イエスは墓にも死にも囚われていませんでした。墓を破って、弟子たちの前に現れ、恐れる彼らに平和を授けられました。

  このお方に助けられて、私たちは自分に敗れますが、イエスが私に勝って下さる。私は何度も敗北しますが、このお方は罪の深い穴からお救い下さるのです。このお方に委ねて行けばいいのです。

  「救いとなる真理を愛そう」とするのです。愛そうとする。敗れても愛そうとする。繰り返し初めに戻ってまた愛そうとしていく。繰り返しです。私はそうして何10年進んできました。その時、惑わす力に打ち勝っていくのです。それは私でなく、イエスが私に打ち勝って下さって、私が打ち勝っていくのです。

        (完)

                                          2013年2月10日




                                          板橋大山教会   上垣 勝


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