やはり軸足が大事です


                   大自然の中で見る木は光っていました。見えますか、光が。
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                                         やはり軸足が大事です (下)
                                         ルカ12章13-21節


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  そして、「こうしよう。倉を壊して、もっと大きいのを建て、そこに穀物や財産をみなしまい、こう自分に言ってやるのだ。『さあ、これから先何年も生きて行くだけの蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめ』と」、男は言ったとイエスは語られたのです。

  折角手に入れた財産をどうして失っていいでしょう。誰でもこう考えるのは当たり前です。男がしたのは現代風に言えば設備投資です。設備投資すれば、先ほど触れましたように安倍政権なら10%程度減税にすると言ってくれるのです。当時は減税はなくても、小作人に対して、将来に備えて莫大な設備投資をしたので今は賃上げ出来ない、それはダメだと言えます。

  今風に言えば小作人に、最近の国際競争は激しくまだ油断できない。もっと働き、滅私奉公してくれないと外国勢にやられると脅すこともできます。だが自分自身には違った語り口で言っている筈です。それがイエス様が言われた語り口です。「さあ、これから先何年も生きて行くだけの設備投資と蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめ。」

  だがイエスはすぐ続いてこう言われました。「しかし神は、『愚かな者よ、今夜、お前の命は取り上げられる。お前が用意した物は、いったいだれのものになるのか』と言われた。自分のために富を積んでも、神の前に豊かにならない者はこのとおりだ。」

  これは個人の話ですが、シャープやパナソニックが事業不振になったのは、ある意味で、「今夜、お前の命は取り上げられる」と言われているような出来事でした。事業を拡大しすぎた上、色々な他の要素が重なって台湾企業に最新鋭工場が買収されるとか、されないとか。今夜のうちに、とは慧眼です。

                              (4)
  今日の箇所は色々現実生活を考えさせられることが多く、あちこち行きましたが、イエス様は最後に、「自分のために富を積む生き方」でなく、「神の前に豊かである生き方」をしなさいと語られたのです。これが今日の中心メッセージです。

  現代は羅針盤がない時代です。何に耳を傾け、何を信頼すればいいのか分かりません。経済評論家に聞いても正解はない。フィナンシャル・プラナーの勧めを真にうけ損した人もいます。国技の相撲も柔道もどうなっているのかと思います。今回の暴力問題、昨年は性の問題でした。2人とも国を挙げて誇ったゴールド・メダリストです。スポーツ界にはこの他、色々あります。世紀の始めなのに内部崩壊が起こりそうな世紀末を感じます。問題が山積みしています。

  羅針盤のない時代に、イエス様は、「自分のために富を積む生き方」でなく、「神の前に豊かである生き方」を選択しなさいと言われたのです。ここに軸足を置きなさいということです。神の前に豊かであるとは、先程Aさんのことで触れましたが、他者と分かち合う生活です。自分にだけ富を積む生活でなく、他者と分かち合い、支えあって生きる。自分のために富を積むだけの生活では生活の質、人生の質は向上しないのです。

  才能も知識も技能も時間もただ自分だけでなく、人のためにも使い、分かち合ってこそ豊かな意味が生まれます。喜びが生まれます。お金を得ること以上の恵みがそこにあります。「一粒の麦は地に落ちて死ぬなら、豊かに実を結ぶ」というのは、そう言う祝福の世界です。

  それは、神が創造された世界、その前で人間らしいリズムと大自然のリズムを大切にし感謝して生きることです。私たちは自然の中で造られましたから、自然を大切に、できるだけ自然と馴染んで生きることです。神の前に豊かであるとは、人の根源的なものを大切にする生き方です。

  先週、北支区教師研修会で富士箱根に行きました。短時間でしたが外に出てホテルの周りを歩きました。富士がくっきりと見え、冬枯れの季節なのに、なぜ山も木々も小鳥の囀りもこんなに美しいのか、富士の裾野はと思いました。

  どの木々も、大らかに伸び伸びとして光り輝いていました。大都会の木々は無残に枝を切られて可愛そうなほど弱っています。しかし、大自然の中ではどの木も青空に細かい小枝を伸ばして輝いていました。どの木も風格を持っていました。私たちも時々、神の恵みの大自然に触れるべきです。大自然の中に身を置くことも、神の前に霊的に生きる一つだと思いました。

  私たちの危機は経済から来るよりも軸足がないことから来ます。本当に大事なものに軸足を置いていない所から忍び寄ってきます。神の前に豊かな生活。神との交わりの生活。そこに軸足を置いて生活を整えたいと思います。

       (完)

                                          2013年2月3日



                                          板橋大山教会   上垣 勝


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