「ミスター・ストラディバリウス」が偽物をつかませる


            ウイーンのバイオリン博物館。天国は美しいバイオリンの音色であふれています。
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                                         羊は声を聞き分ける (中)
                                         ヨハネ1章27-28節


                              (4)
  子ども達と一緒に礼拝するって、素晴らしいですよね。何だか元気が出てきましたね。で、祝福式が終わり、子どもたちが帰りましたので、続きをお話し致します。今度は大人の皆さんへのお話です。でも今日はやや短くお話いたします。

  中近東では、実際の良い羊飼いは、羊が1000頭前後いても、彼らに名前付けたりして性格も覚えているそうです。この子は誰の子供で、誰の孫か、ひ孫かまで知っているそうです。まるで昔の村の村長さんか、小さな町のお医者さんのように皆のことを熟知していて、性格や身体の状況に応じて気を配って導き育てるそうです。愛を込めて育てている証拠です。

  また「知っており」とは、人格的出会いにまで入って深く相手を知るというギリシャ語です。旧約の方では「知る」という言葉は、性的交わりの中で相手を深く知るというような意味まで表します。相手の隅々まで、心や魂の悩みの隅々まで知ることです。

  そこまで知って下さる方だから、「彼らは私に従う」のです。そのような方ですから、「私の羊は私の声を聞き分ける」のです。

  さっきも子どもたちに話しましたが、実際の羊たちは、自分の羊飼いの声をよく聞き分けるようです。他の者が声をかけても見向きもしないが、彼らの羊飼いが声をかけると聞き分けて従うそうです。幼い子どもも、自分のお母さんの声を見分けますし、赤ちゃんでさえ他の人とお母さんの声を見分けます。じゃあ、私たちはどうなのかということに発展します。

  イエス様が「羊」と言われたのは、無論私たちを指して言われました。「私の声」とは、イエス様の実際の声でなく、実際の声は今では誰だって知りません。「私の声」とは、イエス様の口ぶりであり、言い方であり、教えであり、更にはイエスのご人格のことも含むでしょう。

  私たちはイエスと他の者の違いを見分けます。どこか違うとか、そんな話し方やそんな態度を取る方ではありませんとか。そのように、イエスの羊たちは見分けると言うのです。

  偽物について行っちゃダメです。そのためには、本物を知っていなけりゃあならない。本物を知っていると、決してついて行こうと思いません。

  教会のバザーに、今年も沢山の方が来て下さいました。毎年2日で千人程の方がおいで下さるのは、掘り出し物があるからです。私たちは素人ですから、まさかっていうものが何万円もしたり、今では手に入らないものだったりということは分かりません。それで、百円とかで手に入る。50円だったりする。こんな美味しいバザーはないというので、また来てくださる。

  また来て下さることを楽しんでいる私たちは、こっちが上手なのか、向こうが上手なのか。どっちも持ちつ持たれつなのかも知れません。

  バザーは楽しくやればいいですが、人生問題は、本物にしっかり触れていなければ、現代は非常に紛らわしいものが氾濫していますから、うっかりごまかされて偽物をつかまされることが起こります。すると悲惨です。

  そのうち日本でも取り上げられるでしょうが、ドイツ人で「ミスター・ストラディバリウス」って言われる著名なバイオリンのバイヤーがいます。オーストリアに住んでいます。この人こそストラディバリウスの本物を知る人です。ところが、本物を知る彼が本物だと言って偽物を掴ませていたことが発覚して、今大変なことになっています。日本人で一杯喰わせられた人が東京近辺にもいるかもしれません。現代はそんな時代です。

  ですから聖書の勉強や、日曜日の礼拝が大切になるわけですし、日本人は聖書を案外一人で読んでいたりしますが、それじゃあダメなんです。本物に至りません。自己流に掴んで、間違った理解をさも大事そうにしたりします。聖書はやはり信仰を指し示していますから、教会という群れの中で読むとその真価が発揮されて、意味が分かります。

         (つづく)

                                    2012年11月11日



                                    板橋大山教会   上垣 勝


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