万人に喜びと希望を与えるもの


 (前回の写真に続く) その2枚のチケットを、どこか危機感が漂うカップルが買ってくれました。離婚の危機をテーマにした素晴らしいお芝居だったのですが…。これを見てから決断しようということだったんでしょうか。で、中年のフランス人カップルのその後を案じました。
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                                           み言葉を聞き守る人 (中)
                                           ルカ11章27-28節


                              (3)
  イエスがここで語っておられるのは、信仰による喜ばしい生き方です。それはどこから生まれるかということです。

  この女性は、神の言葉でなく、イエスと関係はあるが、肉親関係、この世的な側面に注目しています。そこからは感激や称賛は生まれても、先程も言った羨望や失望も生まれ、人をそこから解放し自由にする、積極的な生命力は生まれて来ません。

  前の口語訳聖書ですが、ヨハネ福音書1章に、「彼を受け入れた者、即ち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。それらの人は、血筋によらず、肉の欲によらず、また人の欲にもよらず、ただ神によって生まれたのである」とあります。ただ神の恵みによって生まれる時、羨望からも失望からも、過去からも悪評や好評からも、自分の囚われからも自由になって生きるでしょう。

  先程申しました、直前のベルゼブル論争の個所で、イエスは悪霊を追い出しておられた時、それを悪霊のかしらベルゼブルによって追い出していると酷評され、悪評を立てられたとありました。とんでもなく捻じ曲げた悪評です。ところが今日の所では、反対に女から称賛された。しかしイエスは、悪評、称賛のいずれにも足をすくわれず、神の栄光を表わす道を進んで行かれます。そこに、イエスご自身が、率先して神の言葉にのみ聞き従って進まれる姿があります。神の言葉に従う時、そういう神の命の力、生命力が授けられるのです。

  パウロも、そういうイエスに倣ってでしょう、自分は、「あらゆる場合に神に仕える者として」示していると書いて、「神の言葉、神の力によってそうしています。…栄誉を受ける時も、辱めを受ける時も、悪評を浴びる時も、好評を博する時もそうしているのです」と書いています。パウロも神の言葉を聞いて生きたのです。

                              (4)
  イエスヨハネ福音書8章で、「私の言葉に留まっているならば、あなたたちは本当に私の弟子である。あなた方は真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」とおっしゃいました。「私の言葉」とは、むろん神の言葉のことです。その言葉に聞き、留まることがここでも言われています。

  それで、イエスが今日の所で、「幸いなのは神の言葉を聞き、それを守る人である」とおっしゃったのは、真理による自由を授けんとしておられるからです。

  K.バルトという神学者は20世紀に巨星のように現われ、世界の教会と思想界に多大の影響を与えました。彼はある所で、「キリストに目を注ぎ、模範としての彼の道に目を注ぐことによって、その足跡に従う必然性は基礎づけられる」と言っています。神の言葉に目を注ぎ、実際に聞き従う。その時、キリスト教信仰が自分の中に必然的なものになり、力強いものになり、基礎づけられて行きます。

  多くの日本人は、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」という曲がとても好きなようです。曲には、平和と落ち着き、確かさがあり、希望と喜びがあって、多くの人が慰められるようです。主キリストが、いかに人間に望みを与え、喜びを授けるか。望みえない時にも望みを与えて下さるか。バッハが自らの信仰を証ししているからでしょう。

  「主よ、人の望みの喜びよ、わが心を慰め潤すいのちの君。主は諸々の災いを防ぎ、わが命の力、…われは主を離さじ、この心と眼を注ぎまつりて。」キリスト教信仰は、主の言葉に目を注ぐことによって、キリスト教徒を超えて万人に喜びと希望を与えるものを証しする力を持っていると言っていいでしょう。

     (つづく)

                                        2012年9月30日


                                        板橋大山教会   上垣 勝


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