日米韓ーベルゼブルの下で内輪もめ?


ピラト時代のオーランジュの野外劇場はほぼ当時のままよく保存されています。ここで世界最高の野外劇が毎年開かれて来ました。                        (写真クリックで拡大)
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                                       天国はもう君の所に来ている (上)
                                       ルカ11章14-23節


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  先程の個所に、「イエスは悪霊を追い出しておられたが、それは口を聞けなくする悪霊であった。悪霊が出て行くと、口の利けない人がものを言い始めたので、群衆は驚嘆した」とありました。

  2千年前の古代です。「口を聞けなくする悪霊」と、現代人にはかなり違和感のある語り方で語っています。今日では悪霊の仕業でなく、喉の発声を掌る機能上の問題とか、脳の思考や表現を掌る働きの不都合と言うべきでしょうか。しかし古代においては、「口を聞けなく」して、人とのコミュニケーションや人間関係を阻んでしまうその異常性は、実に奇怪な現象に思えたのでしょう。

  口が利けないことによって、バカにされ、冷たく蔑まれ、人間関係の歪みが性格や生き方にも影響を与えたかも知れません。

  イエスは、異常を持って社会生活ができずに苦しんでいたその人を治された。すると、群衆は驚嘆したというのです。民衆は素直に率直にイエスがなされた事に大変驚いたのです。

  イエスガリラヤ湖で嵐を鎮め、5つのパンと2匹の魚で5千人を満腹させられました。また、歩けない人を歩かせ、安息日に手の利けない人を癒し、今日の所では口を利けなくする悪霊を追い出し癒されました。その他、色々な出来事を通して、イエスの権威は自然や肉体や心の世界に及び、また宗教的な律法や掟、また世の諸々の霊的な力にも及び、神的な主権的な権威を現わされましたが、それに対して人々は驚きをもって迎えました。

  ところが、「中には、『あの男は悪霊の頭ベルゼブルの力で悪霊を追い出している』と言う者や、イエスを試そうとして、天からのしるしを求める者がいた」というのです。

  ベルゼブルとは当時、悪霊のかしら、首領を指した言葉です。人間をニヒルに虚無的にし、また粗暴にも暴力的にも、冷笑的にもし、愛と慈しみを失わせるものです。彼らが、「イエスは悪霊の首領である。首領が手下の悪霊たちを追い出している」と誹謗したり、「イエスを試そうとして」、お前が神から遣わされた存在なら、その証拠を、天からの徴を見せろと言ったりした。

  そこで17節以下で、イエスは彼らの心を見抜いて、「内輪で争えば、どんな国でも荒れ果て、家は重なり合って倒れてしまう。あなたたちは、私がベルゼブルの力で悪霊を追い出していると言うけれども、サタンが内輪もめすれば、どうしてその国は成り立って行くだろうか。私がベルゼブルの力で悪霊を追い出すのなら、あなたたちの仲間は何の力で追い出すのか。だから、彼ら自身があなたたちを裁く者となる。しかし、私が神の指で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちの所に来ているのだ。強い人が武装して自分の屋敷を守っている時には、その持ち物は安全である。しかし、もっと強い者が襲って来てこの人に勝つと、頼みの武具をすべて奪い取り、分捕り品を分配する。私に味方しない者は私に敵対し、私と一緒に集めない者は散らしている」とおっしゃったと言うのです。

  今、アメリカは苦々しく思っている筈です。アメリカにとって日本も韓国も信頼できる同盟国ですから、多少ぎくしゃくはあったものの、自分の同盟国同士が内輪で争っている訳で、こんなことを続けていれば、東アジア政策の要が「荒れ果て、倒れてしまう」、崩れてしまうと心配している筈です。でも両国とも一向に引かない。「不退転の覚悟」で領土を守ると首相が言うのですから、どっちも不退転なら戦争になりかねません。今は言葉の銃声が聞こえますが、実弾が飛んだら危ない。その前に収束するでしょうし、そういうことがあってはなりませんが、そうなれば日米韓の親密な関係が破綻するでしょう。

  これは、ベルゼブルの下で、アメリカがベルゼブルとは言いませんが、その子分たちが互いに意地を張って権力闘争をしているのと類似しています。イエスは実に世間を、また世界をよくご存知だと思います。ただこれは、両親が死んで、兄弟同士が遺産相続で争うことも示唆するでしょう。夫婦喧嘩だって示唆していますね。その家は立ち行きません。

  イエスはここで、ベルゼブルという首領が子分と争う場合を言っておられますが、いずれにせよ、サタンの国は立ち行かなくなるとおっしゃるのです。

  更に誹謗する者たちに答えて、私がベルゼブルの力で悪霊を追い出していると君たちが言うのなら、君たちの仲間は一体何の力で追い出すのか。私がベルゼブルなら、君たちは子分同士の争いで追い出しているということになろう。そんなことを言えば、君たちの仲間は、君たちを裁くことになろうし、君たち同士が立ち行かなくなるだろう。イエスは彼らの中に一歩踏み込んで、論を進められたわけです。

       (つづく)

                                        2012年8月26日




                                        板橋大山教会   上垣 勝



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