人生を軽快に走るために


          それで、「こと問(とい)まんじゅうなどほおばりながら」スカイツリーを見ました。
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                                             死者たちの復活 (中)
                                             Ⅰテサロニケ4章15-18節


                              (2)
  では、彼は嘘を言っているのか、安易な言葉で人々をだましているのかというと、そうではありません。

  彼は、キリストの復活は人類に対する、信仰者に対する希望のメッセージであることを、どうにかして分からせたいのです。キリストは全世界に希望のメッセージをもたらされた。キリストは過去の人とか現在の人とかを越えて、「主は、かしこより来たりて、生ける者と死ねる者とを裁きたまわん」と使徒信条にありますが、死者も生者も、全ての信じる者たちは神の民だと語って、希望を与えるものだと知らせたいのです。死んだ人は過去の人、忘れられるべき人というのではなく、生ける者と死ねる者とは、一つなる神の民であるということです。

  誰が先に復活するかとか、どのように再臨のキリストが来られるのか、どこで会うのかということは、私たちには全く分かりません。それは人の想像を越えたことです。そういうことは枝葉末節のことであり、それは分かりませんが、既に死んだ人も生きている私たちも、復活の主と出会うこと。死を越える希望が存在することを、何とか分かってもらいたい。その一心で、彼は分かり易いこういう絵画的なイメージで述べたと言っていいでしょう。

  私たちはキリストにあって、将来をもつ者である。死の向こうにあるのは、虚無でない。無ではない。地獄でもない。死の向こうに将来があり、明るい希望がある。救いが待っている。私たちは希望をもつ民であり、「希望を持たない他の人々のように、嘆き悲しまない」ように、ということです。

  終末の有様について、パウロは5章に入っても語っていきますが、現代では、終末の解釈は色々ありますから、余り固定的に1つの解釈に囚われず大らかに考えていいでしょう。

  しかし、信仰の根本は死者の復活があるという信仰です。死人の復活は私たちに希望を授けます。勇気を与えます。パウロはそれに目を留めさせます。復活があるから、無意味と思えることの中にも人生を賭けて行くことができます。ソロバン勘定ではない、それを越えた価値観で生きることができます。イエスは、断食している時に沈鬱な顔をするのでなく、顔に油を塗って顔を輝かせなさいと言われました。苦労丸出しでなく、苦労の中で顔を輝かせて主を待ち望んで行く。それは死者の復活の信仰があるから生まれます。

  「生ける者と死ねる者とを裁きたまわん。」神様が最後的に決着をつけて下さる。自らの人生の判断、評価は安易になすな。神に委ねて、徒労に賭けよということです。徒労に賭けるところから本物が生まれるのです。徒労を避けちゃあ何も生まれません。暫く前からレトロな手作りものが流行っているのは、今は何でも既製品の誰でも作れる安易なものが出回っている中で、手間暇かけて徒労とも言える程苦労して作った物の中に価値があるからです。そこには制作者の人生と涙と汗が込められているからです。

  話は変わりますが、Aちゃんの小学校の運動会が暫く前にありました。「ジッちゃん、かけっこをぜひ見に来てェ」と言われて、楽しみにして行きました。

  いよいよ、1年生のかけっこになりました。4、5人が並んで走ります。「よーい、ドン」でAちゃんも走りだしました。スタートもいい、フォームもいい、腕もよく振っている。「がんばれっ」って心で叫んでいます。ところが勢いよく走るのに、どうしてかAちゃんは、前を見ずに横の子たちを気にしているのです。ゴールを見ないで横ばかり見て走っている。それで真直ぐでなく、コースを逸れて曲がって走るのです。左に行ったり、右に戻ったり。とうとう3位になりました。実に残念でした。

  しかし、行ってよかったです。Mちゃんは1等にはなれませんでしたが、私に大切な教訓を教えてくれました。人生で横の子や他の人を気にしていたら、全力疾走できないということです。ただゴールをめがして走らなければならない。自意識過剰に自分の走りを余り気にしてもうまく走れないということです。ただ無心に、目的に向って、自分を忘れて走ることが大事です。

  復活の希望に向って走るのです。すると喜びも、具体的な希望も出て来ます。人への感謝も湧いて来ますし、真心を持って人や仕事に当たれます。すなわち、自分らしい走りもできるし、軽快に走ることができるでしょう。

       (つづく)

                                        2012年6月10日



                                        板橋大山教会   上垣 勝



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